世界的視点で現在EV化に向けて元気なのは、とにかく中国です。21年のEV販売台数での世界首位はテスラですが、2位がBYD、3位は上海通用五菱汽車の中国勢が占め、この中国2社で世界シェアの55%を占めているという事実は既存の世界ガソリン車販売勢力図から考えれば驚きに値します。
この中国勢を後押ししているのが、国を挙げての急速充電スタンド設置です。中国国内では既に22万か所を超える急速充電スタンド設置済みであるといわれており、確実にEV普及を後押ししているわけなのです。日本も、充電スタンドの設置に向け、今以上の国のバックアップは不可欠な条件であると思われます。
このようにトヨタがEVの製造コスト面で悩むのも、確かにうなずける状況にはあります。ではトヨタはどこに向かうのでしょう。同社の脱炭素戦略は、EVに加えPHVも燃料電池車も視野に入れていることが、21年末に公表されています。
しかしPHVは、10月に発表された35年に内燃機関車の販売を事実上禁止するEU合意で、禁止対象となっています。燃料電池車は水素と酸素で発電させる自家発電車であり、水素の充填がガソリン給油同様、数分でできるというメリットがありますが、製造コストが高すぎるという問題があります。
燃料電池車はライバルであるテスラのイーロン・マスクCEOですら「バカげている」と答えるなど、一蹴されてしまう存在なのです。トヨタがこの先、脱炭素戦略をいかにすすめるのかは不透明感が漂っています。
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