ならば他の国内メーカーはどうなのかといえば、比較的視界良好に思えるのは本田技研工業(ホンダ)でしょう。対テスラ対策的な技術の粋を集めた高級車に関しては、ソニーグループとの共同出資により別会社を設立し、25年の発売を目指しています。
一方で、300万円台からの量販価格帯EV開発に関しては、米ゼネラルモーターズ(GM)との提携関係を強化し、24年に予定している大型SUV型EV発売に続いて、27年から中型EVの全世界発売を目指しています。
ホンダとGMの2社は車量の共同開発だけでなく、車台、生産設備をも共通化することで量産体制確立を早め、製造コスト問題を乗り越えていく考えも公表しています。ちなみにホンダはEV開発に向けた30年までに投資で、トヨタの4兆円を上回る5兆円を予定しています。
日産自動車は三菱自動車との共同開発で今春発売した小型EV「サクラ」が、比較的好調な出足ではあるものの、主力の中型車および高級車EV開発においては「ゴーンショック」が尾を引いた影響は否めず苦しい展開を強いられている印象です。
ここに来て急展開を見せるのは、大株主である仏ルノーからのEV専業会社設立への出資要請です。しかしEV開発への着手が早かった日産はルノーの6倍ものEV関連特許を取得しており、この提携が果たして日産のEV戦略にとってメリットがあるのか否か、判断が難しいところでしょう。
日産がルノーとの出資比率見直し狙いに引っ張られ、冷静な判断を失った場合、EV戦略でさらなる後手を踏むリスクも見え隠れしており予断を許さない状況にあるといえそうです。
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