このようにEV化に向けた開発、生産体制確立のコストダウンには、ホンダの戦略別外部提携路線、日産のルノーとの提携検討からも分かるように、海外企業や異業種を含めた外部との連携が不可欠であるように思えます。
先行きの見えない新規事業開発においては、並外れた資金を持つトヨタといえども単独では限界のあるところであり、コスト面とノウハウの吸収目的での外部との全面提携は必要不可欠なのではないでしょうか。
10年にはテスラとのEV共同開発をめざしたトヨタでしたが、14年にその提携を解消しています。今から思えば、これが軌道に乗っていたらと思うところですが、提携解消は「王者」トヨタの融和姿勢に欠けた組織風土にあったと、関係者が口をそろえるところでもあります。提携下手というこの王様気質こそ、EV化に向けたトヨタ最大の弱点なのかもしれません。
(関連記事:「世界はなぜEV一択なのか」 トヨタ社長に“直球質問”してみた 【回答全文あり】)
EVを巡ってはここにきて、ロシアのウクライナ侵攻の影響による電力問題が世界に暗い影を落としています。ウクライナ情勢に端を発した東西対立がいつまで続くのかにもよりますが、世界的なエネルギー危機意識が続けば急速充電により大量の電力消費を促すEV自体の有効性も問われかねない、とする風潮が出始めています。
この流れが主流になるようなことがあれば、EV化の速度が急激にダウンすることも考えられます。自動車産業がすそ野の広い業界であるだけに、トヨタの全方位戦略が結果的に功を奏するか否かも含め、世界のEV化の動向から目が離せない状況はまだまだ続きそうです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング