――これからの5年、10年を考えると、こうしたことに取り組む企業と、取り組まない企業ではブランド価値に大きな違いが出そうですね。
確実に潮目は変わったので、これからは各社の企業努力ですよね。世界的には2〜3年後には大きな違いが生まれてくるのではないでしょうか。
――今後は企業にとって、どんな点がポイントになってきますか。
キャンペーンという形で取り組んでくださっている企業は多く出てきています。非常にうれしいことです。今後はこれがキャンペーンではなくスタンダード、常識になってほしいと思っています。それが次の5年、10年の課題だと感じます。
企業にとっては、(30年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標である)30by30(サーティ・バイ・サーティ)、カーボンエミッションやプラスチックデブリなど、さまざまな環境問題への取り組みが求められています。
ただ、その中でも海洋保護は、非常に重要な課題だと弊社は考えています。地球の面積の3分の2は海が占めているからです。
気温の上昇によって、一番影響を受けるのは海です。海水温が上昇すると海面が上昇しますから、そうすると周辺の土地が失われていきますね。ツバルなどではもう始まっています。
日本も大阪や名古屋は低地ですから人ごとではありません。食料問題も、気候問題も、ごみの問題も、海洋というくくりでは課題が山積しています。
――日本企業は世界のスタンダードからすると遅れている部分もありますね。
企業の社員食堂などで給食事業を展開するエームサービスさんは、国内で開催される大型国際スポーツイベントで、選手やスタッフへの食事提供でも実績があります。国内の水産物の調達基準は海外のそれと比べるとはるかにゆるやかですが、エームサービスさんは国際的な基準を満たす努力をされています。
同社は三井物産と、オリンピックなどの世界的スポーツイベントで食を提供している米アラマーク社が主要株主になっています。この2つの大企業のリテラシーが高いことが、このような取り組みにつながっていると私たちは分析をしています。
エームサービスの担当者も非常に志の高い方で、 調達基準についてご自身の足を使って、自ら漁村を回ったりもして調べられていました。結果として国際認証を取ったものしか入れないという方針で調達を実施されましたね。
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