最近、ある企業の社長がSNSに「やる気のない社員をクビにした」と投稿し、それが炎上した出来事がありました。クビにした社員の実名は公開しなくとも、企業名やタイミングなどから個人が特定できる可能性もありますから、このような投稿は控えるほうが良いでしょう。
SNSへの投稿はさておき、解雇を含む懲戒処分について、その内容を会社内で公表しているケースは多くあります。これは問題ないでしょうか?
懲戒処分とは「労働者が果たすべき義務や規律に違反したことに対し会社が制裁として行う不利益措置」のことで、その内容は各社の就業規則に任意に定められています。
例えば、厚生労働省が公表しているモデル就業規則には、4種類の懲戒処分が規定されています。
【懲戒処分の種類】
(1)けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
(2)減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
(3)出勤停止
始末書を提出させるほか、○日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
(4)懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。
就業規則には、懲戒処分の種類とそれに該当する行動が具体的に記載されています。従業員は自社でどのようなルールが定められているかを把握しておきましょう。
会社は懲戒処分を行った場合、問題となった行為と懲戒処分の内容を社内に発信することがあります。これには、他の従業員に注意喚起することで組織の秩序を保つという目的があります。一方で懲戒処分の当事者は、自分が懲戒処分の対象となったことや問題行為を誰にも知られたくないでしょうから、なるべく公表は控えてほしいと考えるでしょう。
これについて、従業員が会社を名誉毀損で訴えた裁判例があります(東京地方裁判所判決 平成19年4月27日)。
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