アパレル大不況の中、爆売れした“きれいめパンツ” 背景にある緻密な戦略とは?ウツクシルエットパンツ(2/4 ページ)

» 2022年12月29日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

顧客の声を基に、デザインから名前まで刷新

 まず行ったのは、口コミの分析だ。ECに寄せられたコメントを集計すると、「シルエットがきれい」との投稿が多い一方で、「少し大きすぎる」「布のもたつきが気になる」といった、相反する意見も見て取れた。

 これにより、お客がシルエットを特に気にして商品を選んだり、評価をしたりしていることが判明した。そこで、さらにシルエットを改良してきれいにするにはどうしたらいいかと、パターンの見直しを行った。

ウツクシルエットパンツ(商品は2022年現在のもの、画像はアダストリアのプレスリリースより)

 次に、商品名の変更をした。当初のTRテーパードパンツという名前は、素材名(TR=ポリエステル・レーヨンの混紡素材)と裾に向かって細くなるパンツの型(=テーパードパンツ)というファッション業界用語から成り立っていた。しかし、商品を引き立てていく戦略を立てた以上、消費者に伝わらない用語のままでは問題がある。

 そこで、この商品が最も伝えたい価値としてシルエットにフォーカスし、19年には「シルエット美人」、20年に「ウツクシルエットパンツ」という名称に変更した。

 太田さんは「“美人”という言葉がいいのか、“美しい”という言葉がいいのかなど精査をしました。いずれにしても、お客さまに伝わる品名にするために変えました」と振り返る。

 さらに、「商品の良さをきちんといろんな場面で伝えていかないといけない。店頭でのアピールなどもありますが、その方法の一つがネーミングだと思います。今、店頭のPOPでも、ECでも、商品と一緒に文字を見る機会が増えているので、ちゃんと伝わるようにした方が良いと考えています」と続ける。

グローバルワーク営業本部長、太田訓さん

 商品名を変更した後は、「商品の特徴を伝える」という目的を全てのプロモーションに一気通貫で徹底した。従来は商品チーム、Webチーム、プレスチームなど役割によってチームが分かれているため、少しずつ発信のトーンがずれていた部分があったことを改善。

 店頭での案内やPOP、各種Webサイト、広告、SNSなどの全てで同じトーンで“ウツクシルエット”を第一に訴求するように徹底した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.