アパレル大不況の中、爆売れした“きれいめパンツ” 背景にある緻密な戦略とは?ウツクシルエットパンツ(4/4 ページ)

» 2022年12月29日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]
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1つの商品から、ブランドの価値を高めていく

 2022年の春と秋には、タレントの本田翼さんを用いたテレビCMとプロモーションをスタートした。特筆すべきは、テレビCMを「グローバルワークのCM」ではなく「ウツクシルエットパンツのCM」としたことだ。

ウツクシルエットパンツのテレビCM(商品は2022年現在のもの、画像はアダストリアのプレスリリースより)

 太田さんは「アパレル企業がCMを打つ場合、ブランドの世界観を伝えるものが多いと思いますが、今回は特定のプロダクトを伝えるCMとしました。グローバルワークとしても会社としても初めての取り組みでした。反響は大きく、プロダクトでのCMはこれだけ効果があるのか、と経営層にも納得してもらえました」と胸を張る。

 「一つのプロダクトのためだけに、通常はブランド全体で使うようなCM予算を使うことは大きな判断ですが、ウツクシルエットパンツを知ってもらって、そこから『グローバルワークの商品っていいね』と思ってもらう。それが、ブランドの価値を高めることにも貢献する、というところまでを費用対効果と考えて、判断しました。その結果、十分な成果が出せたと考えています」

 情報があふれている現代。さまざまなブランドが世界観に共感してもらい、ファンを増やそうとあの手この手でプロモーションを仕掛けている。そんな中、グローバルワークでは顧客の声を基に商品をアップデートし、商品力を突破口にブランドの価値を高めて行こうとする異色の戦略を地道に進めた。その結果が、ウツクシルエットパンツの爆売れにつながったのだろう。

 太田さんは「アダストリア全体の成長戦略の中に海外事業があります。グローバルワークもアジア中心に、海外進出の規模を広げていきたいと思います」と今後の展望を語る。

 海外でも、国内と同様に良い商品を展開し、品の良さが伝わるプロモーションを展開することを念頭に、事業を進めると説明する。

 「われわれ小売りは、一人ひとりのお客さまに商品を買っていただいて、その積み重ねがブランドの売り上げ数字となります。だからこそ、国内外問わずお客さまのことを実直に考えて、地道に手を打っていくことで、支持を得られるのだと考えています」(太田さん)

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