コロナ禍により大きく変わったものの一つに「ファッション」がある。
プライベートではお出かけの機会が、ビジネスでは商談の機会が減ったことで外出着の需要は激減。多くのアパレル企業が打撃を受けた。
そんな状況下で、コロナ禍以降も右肩上がりに売れ続けている商品がある。アダストリアのブランド「グローバルワーク」が提供する「ウツクシルエットパンツ」だ。
この商品は、レディースのテーパードパンツ(=裾に向かって細くなるパンツ)を中心としたシリーズだ。通常、テーパードパンツはオフィスで働く女性からの需要が多く、コロナ禍には不利な商材にも思える。しかし、ウツクシルエットパンツは2020年度には前年比127%、21年度には同138%と販売数を伸ばした。シリーズ累計販売枚数は11月末時点で290万枚を突破した。
なぜ、これほどまでのヒット商品が生まれたのか。その仕掛人であるグローバルワーク営業本部長の太田訓さんに話を聞いた。
グローバルワークがウツクシルエットパンツを発売したのは15年だ。この年に着手していたリブランディングに合わせて、「TRテーパードパンツ」という商品名で売り出した。流行の変化に合わせて、カジュアルイメージの強かったブランドを、きれいめ・清潔感のある印象を目指して変化させる取り組みの一環だった。
18年、太田さんがグローバルワークに携わり始めた。ブランドを伸ばすために、成長の戦略を練った。
太田さんが目を付けたグローバルワークの強みは、連携する工場に商社を挟まずに直接注文してつくる、「自社生産」の商品がおよそ8割だということ。業界内やアダストリアのブランド内でも、特に割合が多い。自社生産は、素材の発注などの関係から大規模なブランドでないと利益が出せない方式だが、オリジナルの素材が使えるなど、独自性を出しながらコスパの高い商品を作ることができる。
この強みを生かし、ブランドの戦力になる強い商品を作っていこうという戦略の中、スポットライトが当たった商品の一つが当時のTRテーパードパンツだった。太田さんは「(TRテーパードパンツは)売れてはいるけれど、まだまだ伸びる可能性があるのではないかと思える商品のうちの一つだった」と振り返る。
具体的には、どんな改善をしたのか。
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