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田村淳、前田敦子らがアンバサダー 中小企業を救うプロジェクトの課題SDGsの取り組みを後押し(2/3 ページ)

» 2023年01月06日 08時11分 公開
[武田信晃ITmedia]

会員以外にも参加資格を拡大

 2022年12月には「日本中小企業大賞 2022」を開催した。これは、「ベストプランニング賞」「スゴイ社員賞」「SDGs賞」など5部門15社を表彰し、さらにその中からMVPを選ぶものだ。

 「過去2回は当社のプロジェクトに参加した企業を対象にしてきましたが、今回からは審査対象を、プロジェクトに参加していない日本全国の中小企業に広げました。エントリー数は約400社に達しました」(山下社長)

 応募資格は、資本金3億円以下、従業員数300人以下の企業のみとシンプルだ。一般にも開放した背景と狙いは何か。

 「プロジェクトに関しては1日30〜40件の問い合わせが来ますから、1カ月で900〜1200件になります。しかし、プロジェクトを利用するといっても一定の費用がかかります。その費用を払える企業は10%もいません。つまり、90%の企業はお断りする形になります。

 せっかく理念に共感していただいたのに、『お金を払えないからさようなら』というのでは、非常に残念なことだと思いました。

 私も中小企業を経営する立場ですが、現場の人間は社内で称賛される機会は多い一方、社外から称賛されることはほぼ皆無です。もしこういったことで表彰されたら『頑張ってきて良かったな』と思えます。選ばれなかったとしても、『来年こそは選ばれるようになろう』と思ってもらえれば、結果的に中小企業が元気になり日本が盛り上がることにつながると考えました」

日本中小企業大賞 2022」の様子(プレスリリースより)

「下部組織」も作りたい

 逆に言えば、中小企業から大きなうねりを起こすには、プロジェクト参加費用を払うことのできない9割の企業をできるだけ巻き込む必要がある。今後の展開を聞いた。

 「例えば、芸能人の肖像は使えない『少額で参加できるライトなプラン』を設定し、下部組織のようなものを作りたいです。もちろん、ビジネスマッチングはしますし、金融機関が優先的に融資できるような体制を整えます。そして、その企業が成長すればメインプランに移行してもらう。その段階を卒業して中堅企業、大企業に成長していく世界を作ろうとしています」

 中小企業のチカラの2期目の売り上げは、1期目の売り上げのおよそ2倍に成長した。今後の目標を聞いた。

 「中期ビジョンとして30年までに売上高100億円を掲げました。そのためには、プロジェクトの参加者を増やすだけではなく、いま話した少額で参加できるライトなプランの拡充を図っていきたいです」

 プロジェクトが大きくなり、問い合わせ件数も増えていることで、中小企業のチカラの社員数も10人から25人にまで増えた。ただプロジェクト参加者としては、規模が大きくなればなるほど、きちんと自社をフォローしてくれるのか心配になる。

 「丁寧にフォローしています。月1回は話し合いをするのですが、オンラインではなく対面で実施します。ビジネスマッチングにも力を入れています。プロジェクトに参加している600社は成長企業ばかりです。成長企業同士のマッチングによるシナジー効果は非常に大きなものがあります。

 話し合いの中でマッチしそうな会社を個別で紹介するほか、ウェビナーを開催して互いの顧客を動員して紹介し合い、興味があったらつながるような提案をしています。新型コロナも落ち着きましたので、1、2カ月に1回は経営者交流会も開催しています」

 他にも「田村淳×100人の経営者の交流会」を開催した。田村が面白いと思った企業を選び、選出された企業は田村にプレゼンをして、アドバイスをもらう企画で、好評を得たという。田村に中小企業が抱える問題は何かを尋ねてみた。

 「テレビ東京の番組『田村淳のニッポン! アップデート』をやっているのですが、若い人の会社、年配の人の会社などがあって、それぞれの悩みも多種多様です。だから『これが中小企業の課題』と抽出するのが難しいのです。

 ただ社会問題にいち早く切り込んでいくのが中小企業ですから、彼らを支援すれば政治家の人は楽になるはずなのです。大きな可能性を持つ企業がこれだけあるのですから、国からの支援がもっとあれば、最後にはみんながハッピーになれると思います」

中小企業が抱える問題を語る田村淳(撮影:山崎裕一)

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