YouTubeがショート動画の収益化に踏み切った背景には、TikTokの存在がある。調査企業eMarketerの調査によると、22年のTikTok全体の広告収入は前年比3倍の116億4000万ドル(1ドル=130円レートで約1兆5132億円)。24年には、TikTokの広告収益は235億8000万ドル(同3兆654億円)にまで膨れ上がり、実質的にYouTubeの全体収益である236億5000万ドル(同3兆745億円)に匹敵すると予測している。19年からの5年間で70倍の規模に成長している計算となる。
これまでYouTubeも試験的にショート動画の収益化を行っていたものの、短尺動画がメインのTikTokに対し、YouTubeがショート動画でクリエイターに還元した金額は21年から22年にかけて1億ドル(同130億円)にとどまっていた。
実際、クリエイターがYouTubeに投稿した動画を見ると、自身のTikTokアカウントに投稿したショート動画を、転載しているケースが目立つ。通常の長編動画はYouTubeに投稿しつつ、短尺動画はTikTokというように使い分けている様子がうかがえる。YouTubeはショート動画の収益化を本格化することで、動画プラットフォームとしての主導権を握る狙いがある。
近年は、採用活動のPRの一環として、企業が公式YouTubeチャンネルを開設するケースが増えている。若年層に親近感を持ってもらおうと、ショート動画を利用する企業も多い。企業のPRという視点では採用活動以外にも、インフルエンサーが企業タイアップで製品をショート動画で紹介するケースもある。
YouTubeの分析を手掛けるエビリー(東京都渋谷区)の調査によると、YouTube全体でショート動画の投稿数が増加傾向にあるという。ショート動画でのタイアップに関しては「ショート動画をフックにして長尺動画への動線を作ることで視聴の途中離脱を防ぐ効果も一部で見られており、この方法でもYouTubeの広告収益を伸ばすことが可能。現段階ではタイアップ案件への参入はまだ様子見という状況だが、今後企業とのタイアップ案件の成功事例が増えれば、案件数は加速していくだろう」と分析している。
企業PRで、YouTube ショートの利用が進むか、今後、注目を集めそうだ。
ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
「過去最大の投資」──ABEMA責任者が語るサッカーW杯放映権獲得の舞台裏と狙い
加速する局アナの“テレビ離れ” 元TBS国山ハセン氏が選んだ意外な転職先
社用スマホ転売で6億円着服──バンダイナムコはなぜ、社員の不正を防げなかったのか
「生クリーム好き歓喜」──セブンイレブンの“具なし”「ホイップだけサンド」に反響 商品化の狙いは? 広報に聞いた
「工場の製造が追い付かない」──ファミマの「クリームパン」、4週間で650万個販売 好調の理由を広報に聞いた
日本製車両採用の「ドーハメトロ」、サッカーW杯観客輸送で活躍中 記者が乗ってみた
テレ朝の大物プロデューサー、米アマゾン移籍報告に反響 『あざとくて何が悪いの?』など企画
床が水浸し、エアコン故障...... 1泊3万円、カタールW杯で「ぼったくり」と批判殺到したプレハブホテルの実情とは
カタールで見つけた大量の「PS5」 日本の品薄状態はどうなる? ソニーに聞いた
とんかつソース、オロナミンC...... カタールのスーパーで見つけた「日本の味」 現地での意外なニーズとは
“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”を製品化 ドンキの狙いは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング