社用スマホ転売で6億円着服──バンダイナムコはなぜ、社員の不正を防げなかったのか4000台を無断転売(2/3 ページ)

» 2023年01月18日 21時12分 公開
[樋口隆充ITmedia]

アナログ管理に原因か 担当者変更で発覚

 約7年という長期間に及んだ備品の無断転売。同社はなぜ見抜けなかったのか。同社担当者は原因について「管理システムと社内の体制に問題があった」と説明する。担当者によると、備品は社内の専用ツールで管理していたが、製品番号を手打ち入力するなどの比較的簡素なものだったという。そのアナログな仕組みを悪用し、男性社員は長きにわたって、虚偽の数値を入力。購入数と保管数が一致するように見せかけていた。

photo 管理システムに虚偽の数値を入力していた男性社員(写真はイメージです、提供:ゲッティイメージズ)

 管理体制にも問題があった。男性社員は発注や管理を行う業務を、一手に引き受けていたのだ。「組織規模が大きい上、業務も多岐にわたっていたため、結果的に備品の管理を男性社員に任せきりにしてしまった。管理体制が不十分だったのは間違いない」。同社担当者はこう説明した。1人の社員に任せていたことが、事態発覚を遅らせることにつながった。

 発覚のきっかけとなったのが、担当者の変更だ。21年度末に男性社員から業務を引き継いだ別の社員が、システム上の数値に疑問を抱き、会社に報告。社内で調査を進めたところ、疑惑が浮上し、その後の会社のヒアリング調査で、男性社員は事実関係を認めた。調査の結果、男性社員が着任した年と売却を始めたとみられる期間がほぼ重複しているため、着任早々からシステムの欠陥に気づき、売却を繰り返していたとみられる。

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