パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。
先日、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが3月から最大40%の賃上げを行うことが報道された。ファーストリテイリングはグローバル企業なので、世界各地での現地雇用者のほうが本社の日本人社員より給与が高くなっているという「逆転現象」の差分を少しでも埋めようとしたとのこと。以前から問題意識を抱えていたようだ。
またいくつかの大手企業も大幅な賃上げ方針を表明している。日本生命が来年度から平均7%、ロート製薬も平均7%引き上げることを、それぞれ公表している。サントリーホールディングスも(ベアも含めて)月収ベースで6%の賃上げを検討しているそうだ。他にも幾つか伝わってきている。
大手企業では賃上げムードが高まってきたようだ。同じ業界の競合企業が賃上げすれば横並びで追随せざるを得ないのが実情なので、波及効果はそれなりに期待できる。
日本企業の給与水準は他の先進国と比べるとこの20年以上、最低水準に張り付いている。 その主な理由は、バブル崩壊以降、物やサービスの「付加価値を創造する」ことよりも「コスト削減」、とりわけ賃金を抑制する安易な戦略を日本企業の経営者が優先させてきたことにある。
大企業でさえそうだったから、その下請けになって「コスト削減」を押し付けられてきた中小企業の経営者は思考停止状態で、取引先大企業の猿真似をしてきた例が多い。
大企業も中小企業も同様だが、賃金を抑制する言い訳は「賃上げか、雇用か」というものだった。人件費を上げると競争に負ける、経営が打撃を受けたら首切りにつながるぞ。それよりは安い給料で我慢せよ。そういう理屈だった。
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