いまだにファクスが受発注端末である業界が少なくないのは、そうした事情があるからだ(ファクスは受発注業務に使うには非効率的だが最も汎用的な手段だ)。小生は過去に複数の業界でこの問題に取り組んだ経験があるが、一つ片づけるだけでもとんでもない労力が掛かる話なのだ。
本当に受発注業務を効率化するためには川上と川下の業界が共通オンライン化しないといけない。そうなるとバリューチェーン上の業界全体でまとまることが必要になってくる。これに取り組むためには、地域経済を面倒みている地域金融機関が腹を据えて協力してくれるという条件が満たされないと、目途が立たないことがむしろ普通なのだ。
もしそういった条件が満たされるなら、中小企業庁や自治体の支援制度などもうまく活用して現実的なDX化を着実に進めることだ。ただしベンダーに勧められたからと安易に飛びつくと、使えないツールばかり抱えることになりかねない。よく調べて比較して、自分たちでよく考えることが不可欠だ。
こうした3つの方策のいずれかに挑戦すらできない情けない中小企業は、物価高で原材料費が上がる中で付加価値を確保できず、賃上げもできず、新しい働き手を確保できず、転職に自信がない能力的に劣る人材か高齢者しか残らなくなってしまう。
今は日本経済にとっても、そして中小企業にとっても正念場なのだ。 (日沖 博道)
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