ところが、主力モデルであるカングーが売れていない昨年の成績がダメだったかといえば、そうではありませんでした。逆に、過去最高の8615台を販売したのです。しかも、22年のルノーの成績は、8552台だったプジョー、4878台だったシトロエン、790台だったDSオートモビルを抑えるもの。フランスブランドとしてトップとなっていたのです。
主力モデルのカングーなしでも、過去最高を記録したルノー。その販売台数の内訳を見ると、カングーと「ルーテシア」以外のモデルが前年を超える数字を達成できていたことが分かります。コンパクトカーの「トゥインゴ」、SUVの「キャプチャー」と「アルカナ」、ハッチバック&ワゴンの「メガーヌ」の全てが数字を伸ばしています。
好調の理由の1つが、ルノー独自のハイブリッド「E-TECH FULL HYBRID」の投入です。これはF1のノウハウを活用したもので、モーターとエンジン、そしてドッグクラッチを組み合わせたシステムです。エンジン走行、EV走行、ハイブリッド走行を実現するだけでなく、ダイレクトでレスポンスに優れるのが特徴です。
SUVクーペのアルカナにはじまり、SUVのキャプチャーやハッチバックのルーテシアなどに採用を拡大していきました。この話題性がルノー全体の販売を引き上げたと考えられます。
また、公式Webサイトで、納車の早いグレードや仕様を明らかにしているのも業績に貢献しているはずです。コロナ禍や欧州における戦争、半導体不足による生産の遅れはルノーにも発生していますが、それを回避する工夫も重要ということです。
主力モデル抜きで過去最高を達成したルノー。それに今年は、主力モデルのカングーが販売戦線に戻ってきます。そうとなれば過去最大の更新もたやすいはず。これまでルノーという存在を、“日産の相棒”と受け止めていた人も多いでしょう。しかし、今年は名前だけでなく、実車も街で目にする機会が増えるのではないでしょうか。ルノー車の目印は、フロントに掲げられたひし形ダイヤのエンブレムです。
1966年9月生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく“深く”説明することをモットーにする。
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