一体インターネット広告市場に何が起きているのでしょうか。本当に、需要自体がなくなってきているのでしょうか。その謎を解く鍵となるのがアマゾンの広告事業の動向です。
2月2日に発表された同社の業績報告によると、アマゾンの広告サービス部門の第4四半期の売上高は116億ドルで、前年同期比19%増となりました。これは、前述のグーグルやメタと比べると、かなり大きな成長率であることが分かります。
そもそも、アマゾンの広告シェアは、インターネット広告全体の何%を占めているのでしょうか。米調査会社インサイダー・インテリジェンスが実施した世界各国のデジタル広告収入シェア調査の結果によると、オンライン広告市場全体におけるアマゾンのシェアは7.3%であることが分かっています。なお、グーグル、フェイスブック、インスタグラムがそれぞれ28.8%、11.4%、9.1%となっており、シェア自体はまだ多いとは言えないものの、決して小さくないことが分かります。
シェア分布からも分かる通り、インターネット広告市場は細分化されており、今後も続く不景気を考慮するとシェアの奪い合いがさらに激化すると予想されます。
同調査会社が数年前に発表した米国市場における今後のマーケットシェア予測によると、23年にはアマゾンのシェアが14.6%、グーグルのシェアは26.4%に下がり、フェイスブックとインスタグラムを合わせたメタのシェアは24.1%で横ばいになると考えられており、何年も前から、アマゾンが米国市場で唯一成長する広告ビジネスだと予測されていたことが分かります。
なぜ、この景気低迷局面でもアマゾンの広告ビジネスは成長し続けているのでしょうか? その理由を考察し、以下の3つにまとめました。
アマゾン最高財務責任者のブライアン・オルサフスキーは、同社の第4四半期の決算説明会で、「販売業者、ベンダー、ブランドは、常に競争の激しいホリデーシーズンに顧客を獲得するために、アマゾンの広告機能に引き続き注目しています」と述べており、経済環境が不安定になってきている中、広告主がより売り上げに直結する効果的な広告媒体をシビアに選ぶ傾向が強まっていることが一つの要因であることが分かります。
つまり、不景気により広告宣伝費予算を削減している企業も多く、マーケターが広告費をより具体的に検証する段階に入っている中、メタやSnapといったソーシャルメディア企業よりも、買い物客のデータをそれぞれの広告費とより簡単かつ効果的に関連付けられるアマゾンに価値を見いだしていると言えるのです。
また、メタやSnapはモバイルユーザーが多く、Appleがユーザー向けの新しいプライバシー機能を導入したことで、広告効果測定と広告トラッキング技術の再構築を余儀なくされていることもアマゾンが優位となっている要因の一つと言えます。
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