学び直しは会社員のキャリアにどう生きたのか 働きながら38歳でMBAを取得：プライベートをほぼ捨てても（3/5 ページ）

[小林香織，ITmedia]

年収、役職。学び直しはキャリアをどう変えた？

　2018年9月に大学院に入学し、21年春に卒業。その後、上野さんはチャットコマースサービスを提供するジールス社に転職し、人事企画を担う部署のマネージャーを務めている。MBAの取得によってキャリアはどう変化したのか。

　「MBA取得以前に勤めていたスタートアップは、当時社員が10人未満で役職はありませんでした。現在は社員が約300人の組織でマネージャー職を務めています。年収は以前のスタートアップよりは上がっていますが、前職のパーソルキャリアと比較するとスライドから、ややダウンといったところです」

ジールス社が提供するチャットコマースは、資生堂やトヨタグループなど大手にも導入され、導入社数は400以上だ（ジールスの公式Webサイトより）

　「スキルの変化でいうと、国内企業の一プレイヤーとしではなく、グローバル企業の経営者視点で、さまざまな外部ステークホルダーの存在も踏まえ、どうあるべきかという高い抽象度で物事を考えられるようになりました。

　英語力を使って世界からの情報収集もできるようになったし、事業を起こして経営者になるという新たなキャリアの選択肢も生まれました」

　上野さんの場合、仕事とは人の役に立つことであり、生活に必要なお金を稼ぐこととは切り離しているという。とはいえ、MBA取得後に声をかけられた案件の中には年収が大幅にアップする条件もあったとか。それまでのキャリアや本人の意思次第で、MBA取得後に年収を劇的に上げられる可能性もありそうだ。