ここまで、入社前後の新入社員研修を例にありがちな「賃金トラブル」の対処法について解説してきましたが、これらはあくまで一例です。そのほかにも「入社に伴う転居費用は会社負担か?」など、新入社員をめぐるトラブル事例は枚挙にいとまがありません(ちなみに、転居費用に関しては法律での取り決めはないので、労使間で自由に決めることができます)。
ささいな認識違いが早期離職につながるケースもあるため労務担当者には細やかな気配りが求められます。実際、厚生労働省の調査によると、大卒1年目の離職率は10%、3年目にはその数字が30%以上になります。
また、就職みらい研究所は「就職白書2020」において、2020年新卒の平均採用コストを1人当たり93.6万円と試算しています。採用を有効な投資にするためにも早期離職の防止は極めて重要な施策になります。よって、採用担当者は採用人数だけでなく、定着率にも目を光らせておくことが大事です。
では、新入社員は入社後に会社に対してどのような問題を感じているのでしょうか? 連合の発表した「入社前後のトラブルに関する調査2022」によると、1位「時間外労働が恒常的である」、2位「仕事に見合わない低賃金である」、3位「精神的に不調になり辞める人が多い」となっています。
上位3位の理由から、人手不足で残業が続き、それが原因で退職者が発生し、また人手不足で残業が増えるという負のサイクルが起こっていると推測できます。特に業務に不慣れな新入社員の労働時間に配慮するとともに、適宜業務を見直すことが重要でしょう。
新卒社員が前向きに働ける環境を整えていくために何が必要か、今回紹介したポイントが参考になれば幸いです。
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