CxO Insights

人的資本開示、「株主に信頼される」開示指標の作り方とは?人的資本経営「3つの成功要因」(2/2 ページ)

» 2023年03月24日 07時00分 公開
前のページへ 1|2       

PDCAを図るために必要となる新たな基盤

 前述した指標設計ができた後、ボトルネックになるのが「データが集められない」「その進捗を随時把握できないがゆえにアクションが取れない」といった課題です。

 企業が人的データを効率的に一元管理することで、こうした課題の解決につながり、効果的な業務遂行のための基盤づくりになります。これによって効果的な開示戦略の立案や、人材戦略にひも付いた施策のPDCAが可能になります。

photo <図4:基盤のコンセプト>

 そのために必要な要件は

  • 国内・グローバルのデータが集約されたDBであり、その指標管理に必要な人事・人事外データが管理できる
  • 現在の戦略に設けた指標と現状が比較可能な状態で閲覧することができ、その差異が把握できる
  • 開示という断面で切り取り、必要な情報を抽出することができる

といった基本的な要件であると同時に、

  • 目標を設定するためのベンチマークデータが確認できる
  • 現在の人材の状態が可視化できる人材ポートフォリオを参照できる
  • 現状との差異の原因を分析することができる、またはその原因を示唆する提案がある

といった発展的な要件を設定することで、より人的指標管理を進化させていく必要があります。

 このような人事の検討にとどまらない指標設計と、その指標設計のための基盤構築が、人的資本経営においては必要不可欠といえます。

photo 画像はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 次回は、これらの指標における現状との差異からひも解いた課題を解決する施策の立案として、特に各企業における関心の高い「エンゲージメント向上」のための新しい施策について説明します。

著者プロフィール

久保田 勇輝(くぼた ゆうき)

アビームコンサルティング株式会社

執行役員 プリンシパル 戦略ビジネスユニット 人的資本経営コンサルティングチームリード。

パッケージ会社/コンサルティングファームで人事コンサルティングに従事。人事の戦略、プロセス、テクノロジーの事業責任者として、多くの企業の人事戦略策定、タレントマネジメント、DX構想から業務設計、システム構築まで一貫したコンサルティング実績を有する。

 

細田 俊之(ほそだ としゆき)

photo

アビームコンサルティング株式会社

戦略ビジネスユニット シニアマネージャー 人的資本経営コンサルティングチーム。

コンサルティングファームで人事コンサルティングに従事。多くの企業の人事戦略策定、タレントマネジメント、DX構想から業務設計、システム構築まで一貫したコンサルティング実績を有する。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.