クイーン・エリザベスを運航しているキュナードは、英国で1839年に設立された歴史のある船会社だ。現在所有する客船は3隻で、そのうちの1隻であるクイーン・エリザベスは先代で2008年まで現役だったクイーン・エリザベス2とともに、英国女王の名を冠した世界でもっとも著名な客船の1隻として知られている。
その“世界でもっとも著名な客船”のクイーン・エリザベスをキュナードは、クルーズファンに人気の欧州航路やカリブ海、南太平洋から遠く離れた日本発着クルーズに就航させている。それはなぜか?
キュナードと日本との縁は戦前までさかのぼる。キュナードで北米・オーストラレーシア地域コマーシャル担当副社長を務めるマット・グリーヴス氏によると、1922年12月28日に横浜に寄港した「ラコニア」がキュナードの客船として初めて日本を訪れて以来、「キュナードの利用者にとって日本は人気の高いエリアです」(グリーヴス氏)となるほどに、キュナードと日本の関係は深いという。
「皇太子時代の上皇陛下が1953年にエリザベス2世女王の戴冠式に出席されるときに、キュナードの船がお迎えしたこともあり、大変光栄に思っております。また、1989年から1990年にかけて、横浜港開港130周年を記念して『クイーン・エリザベス2』が日本に長期停泊したこともありました。このようなつながりからも、キュナードというブランドが日本で深く刻まれることになったと思います」(グリーヴス氏 )
このように長いときをかけて日本との関係を構築してきたキュナードは、17年から19年にかけて日本発着クルーズを実施してきた。グリーヴス氏は、従来からあった英国や北米、オーストラリアの船客からの日本クルーズに対する強い要望に加えて、日本国内を巡りたいと思う日本人が多かったことが驚きだったと述べている。
「日本におけるキュナードの魅力は、豊かな歴史と航海の伝統が伝える現在のブランドの姿、そして信頼感であると私たちは考えています。比類ないキュナードの伝統を、多くの日本の利用者からも高く評価していただいている点だと感じております」(グリーヴス氏)
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