2020年からその動きがほぼ停止してしまったように見えるクルーズ業界だが、実は20年後半から活動が再開している。その後、船会社によっては幾度かの中断を経ながらも23年の今に至るまで営業航海を継続している。
クルーズというと、日本では「横浜や神戸、長崎といった日本の港から出港して津々浦々を巡り、また日本の港に帰ってくる船旅」をイメージする人が多い。しかし、このような「日本発着クルーズ」とともに10年後半から日本でも利用者が増加していた船旅の形態があった。それが今回紹介する「フライ&クルーズ」という飛行機と客船を組み合わせた海外旅行のスタイルだ。
日本人の外航クルーズのエリア別利用者数の推移。このほとんどがフライ&クルーズの利用者となる。2016年から増加傾向で特に2017年には急激に数を増やしていた(国土交通省「2019年の我が国のクルーズ等の動向」より)これは日本に限らず世界共通の事情なのだが、20年当時はさすがに出入国制限が厳しい状況においてフライ&クルーズは実質的に不可能に近かった。しかし、22年の前半以降、世界各国で入国制限が緩和されるに従ってフライ&クルーズ利用が盛り返しつつある。
日本でも22年の年末が近づくにつれて海外を行き来するときの制限が緩やかになりつつあり、フライ&クルーズも旅行の手段として現実的な選択肢となってきた。この記事では、22年12月に英国船会社のキュナードが所有する客船「クイーン・エリザベス」による豪州航海を通して「イマドキのフライ&クルーズ」の実態を報告する。
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