JR東海の本線上の自動運転試験は21年の11月から実施されてきた。報道公開日までに静岡駅〜浜松駅間で12日間を1日1往復で24本、浜松駅〜豊橋駅間で3日間を1日1往復で6本。合計30本の試験実績がある。約2年半、30回の試験で、自信を持って報道公開できるレベルになったということだろう。
報道公開は浜松駅〜静岡駅間の本線上で行われた。浜松には新幹線の車両基地があり、実際の車両を使った試験の基地となっている。報道陣は深夜の浜松駅に集合し、自動運転列車の運用方法について説明を受けたあとで試乗した。使用車両はN700SのJO編成といって、営業確認試験車として使われている。量産型の導入前に運行して性能と仕様の確認を行う車両だ。量産型の導入後は次世代車両のための試験が行われる。
報道陣が乗車した車両には、運転席を映すモニターと、運転曲線(後述)と実際の運行状況を示すモニターが配置されていた。運転士はブレーキハンドルを緩め、発車ボタンを押すだけ。あとはブレーキハンドルを握ったまま。これは非常時にブレーキをかけるためで、平常時の自動運転では操作しない。駅に到着するときは、時速30キロメートルで運転士が確認ボタンを押して状態監視。停止したあとにブレーキハンドルを定位置に戻して乗務終了となる。
運転曲線がリアルタイムに表示される。黄色が最高速度信号、紫色は徐行区間が設定された場所、赤は徐行区間を見込んでつくられた運転曲線。水色は実際の車両の動きを示す。運転曲線通りに走ると、赤い線をなぞるように水色の線で上書きされていく(著者撮影)ちなみに浜松発静岡行きは所定の時刻より2秒早く着き、停車位置の誤差は0.9センチメートル。静岡発浜松行きは2秒遅く着き、停止位置は12センチメートル手前だった。停止位置は前後50センチメートルを許容範囲としているとのことで、この日の試験結果は上出来だったそうだ。
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