さらに最も重要な変化と言えるのが、映画館での映画鑑賞自体の意味の変化です。
今回の映画『スーパーマリオ』を巡る議論で非常に興味深い現象と言えるのが、映画を観た一般の観客による映画への評価は非常に高いのに対して、映画のプロの批評家の評価が非常に厳しいものだったという点です。
これは、映画のプロの批評家が、映画『スーパーマリオ』を従来の「映画」の枠の中で評価しているために、おきている現象だと説明できます。
従来の「映画」として期待して観るから、「映画にはストーリーが必要」という議論が発生するわけです。
(参考記事:「マリオにストーリーは必要なのか?」映画公開を受けあらためて考える)
一方、映画をご覧になった方は納得されると思いますが、映画『スーパーマリオ』はある意味でゲームプレイ応援的な側面が強い映画と言えると思います。
実は、昨今の大ヒットする映画の多くが、こうした応援や推し活的な要素を含んでいることが分かってきています。
映画『ONE PIECE FILM RED』のように音楽ライブを疑似体験できる映画
映画『THE FIRST SLAM DUNK』のように試合観戦を疑似体験できる映画
劇場版『名探偵コナン』のように推しのキャラを応援することができる映画
そうした映画は、映画館でこそ観る意味がある映画と言えますし、ファンが何度も映画館に繰り返し足を運ぶ意味があります。そのために、大きな興行収入をあげることができていると考えられるのです。
大ヒットした劇場版『鬼滅の刃』でも、煉獄さんを応援するファンが多数発生したことが記憶に新しい方も多いのではないかと思います。実は、従来の映画評論家が高く評価するようなストーリー重視の映画は、Netflixなどの動画ストリーミングサービスで、家で観れば十分と考える観客が増えてきています。
これから映画館にとって重要なのは、従来通りのストーリー重視の映画ではなく、映画『スーパーマリオ』のような応援や体験要素の強い映画になる可能性が高いとも考えられるわけです。
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