マーケティング・シンカ論

チームのKGIを「売り上げ」に設定してはいけない では、何が適切か?トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾(1/2 ページ)

» 2023年08月09日 08時00分 公開
[池田 紀行ITmedia]

連載:トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾

「思うように売り上げが上がらない」「マーケティングが効いているのか効いていないのかわからない」理由の多くは、戦略が論理的に組み立てられていないことに起因しています。本連載では、マーケ戦略策定に潜む10の落とし穴とその解決法を解説していきます。どうすれば「筋の良い」マーケティング戦略を組み立てることができるのか?――トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾、開講です。

 前回の記事では「結果には複数の原因があること」「戦略は直線的ではなく構造的であること」「全体構造を把握するためには俯瞰(ふかん)の目が必要なこと」について解説しました。今回は「効果測定指標を売り上げにしてはならない」ことについて説明します。

売り上げは「結果」である

 簡単に前回までのおさらいをしておきましょう。

 まず「売り上げ10億円を目指す」は「目標」であり「戦略」ではないと話しました。また「昨年の売り上げは9億円で、目標に1億円届かなかった」は、さまざまな施策(入力)を講じたことによる結果(出力)です。至極当たり前のことですが、意外と誤解している人が多いので、もう一度言います。売り上げは「結果」であり、直接コントロールできないのです。

 車の運転をしていて時速30キロで走っているとき、当たり前ですが速度メーターは時速30キロを示しています。他の車の流れに乗るように、スピードを時速40キロまで上げたいとき、何をしなければならないか。当然、アクセルを踏まなければなりません。このとき、アクセルが入力、車のスピード(速度計に示される数値)が出力です。売り上げも同じです。入力(施策)があり、出力(売り上げ)がある。まずこの「因果の順番」が大前提です。

 そして、結果に影響を与える要因(変数)は複数あり、それらは構造的につながっています。結果に影響を与える変数が構造的なのであれば、戦略も構造的でなければなりません。

なぜ、売り上げをKGIにすべきではないのか?

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