通用しない、といういい方が正しいかはともかく、みなさんが想像するほどには現実でフレームは使われていないということです。では、なぜその乖離が生まれるのでしょうか?
持論ですが、マーケティングを語るうえで、後付け的にその事象の成功を説明することにおいては、フレームは使えるからだと思います。
世の中にあふれる情報の多くは、すでに成功したマーケティング事例がほとんどで、現在進行形の過程をみることはほぼできません。
結果、成功事例を後からひもといているのがほとんどで、過程において使っていなくとも、後付けで人に説明するときにはフレームを使った方が体系化されているし、それっぽく見えます。
そんな私も新卒3年目のときの記事を読んでみると、ややフレームを使った思考の整理をしたうえで話しています。
ポイントとしては、フレームはあとで成果を振り返るときや、外部に情報を出す際の共通言語としては使えるものの、実務においてはほぼ使われていないということです。
フレームが現場で使われない理由は、私の視点で大きく3つあると思います。
(1)一般的にフレームは汎用性がかなり低い
フレームは、数学でいえばいわば公式です。いくつかの成功事例から逆引き的に集約されたもので、ありとあらゆるbusiness aspectを含みます。一方、実際のマーケティングの現場では、理論を超えたその会社組織体としての倫理観、ブランドの目指すべき姿など、考慮しないといけないポイントが多く存在しています。
それを汎用化された公式である(汎用)フレームで解決することは、現実的に不可能なので、結果使わない(使えない)ということが多いです。
(2)フレームを使いこなすこと自体が結構難しい
これは結構大きい課題です。例えば3C分析は基本中の基本として取り上げられるフレームですが、使う人によって全然アウトプットのクオリティーは違います。そのドメインの解像度が大して高くない人が3Cでまとめあげても、残念ながら何にも意味を成さず、そこからのアクションも見えずに形骸化してしまうことが多くあります。
一方で、ドメインプロフェッショナルが3C分析を入れると、もはやそれだけでnext actionまで見えるほど視界が開けます。顧客理解の精度1つとっても、誰(WHO)を顧客として分析するかがずれていれば、どれだけ優秀なアナリストを入れてもそのデータには意味がありません。
よくある話で、牛丼チェーンの本当の競合は、牛丼チェーンではなく、コンビニである、というのがありますが、これも全く同じ議論です。競合分析をするにも、誰を競合として分析するかでアウトプットの質は大幅に変わります。なので、マーケティング系のnoteや本を読んで「明日から学んだフレームを使ってみよう!」という人もいますが、ほとんどのケースにおいて使いこなせない(逆に言えば本を読んでさくさく使いこなせる人がたくさん生まれてしまうとマーケターは困る)ということです。
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