みなし残業制、どうせなら「毎日定時」で帰りたい ダメですか?(1/3 ページ)

» 2023年11月20日 08時00分 公開
[永野 奈々ITmedia]

 多くの企業が取り入れている「みなし残業制」(=固定残業制)。「どうせ残業代が含まれているのなら、何とかして仕事を終わらせて、毎日定時に帰りたいよね」と考えるビジネスパーソンも多いのではないだろうか?

 みなし残業制の会社で、毎日残業せず定時退社するのは問題なのか。上司からの「残業要請」には必ず応じないといけないのか……?

残業 (出所:ゲッティイメージズ)

 みなし残業制に対して「ブラックだ」という印象を持っている人も多いだろう。今回は、みなし残業制のメリット・デメリットも踏まえて、社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所の永野奈々氏が解説をする。

みなし残業制とは?

 みなし残業制とは、労働者が毎月、またはあらかじめ決まっている給与計算期間にわたって、一定の残業(時間外労働)を行うことを予定し、その残業に対する報酬が給与に含まれている制度です。

 具体的には、例えば「基本給が月給30万円で、月40時間分のみなし残業代である9万3760円が別途支給される」といった雇用契約を結んでいる場合、この労働者はその月に40時間の残業をした場合でも、1分も残業をしなかった場合でも、月給39万3760円が支給されます。仮に月に40時間を超える残業をした場合には、その超過分の賃金と割増手当が初めて支給されることになります。

【お詫びと訂正:2023年11月20日午後6時 文章に一部誤りがございましたので、加筆修正を行いました。お詫びして訂正いたします。】

「定時退社」がダメが訳ではない、しかし注意点も……

 冒頭の話に戻りましょう。

 確かに残業をしてもしなくても、もともと決められたみなし残業時間の範囲内であれば給与が変わらないのは事実なので、「定時に帰りたい」と思う気持ちも最もと言えば最もです。しかし、基本的には残業を拒否することはできません。

 なぜならば、通常、会社の就業規則や雇用契約書において、業務上の理由があれば契約で定める所定労働時間を延長して労働させることができる旨が定められており、残業命令に従うことは義務であるからです。

 例外として、育児や介護が必要な場合や、労働者の健康に影響を及ぼす場合など、正当な理由がある場合には拒否することができます。しかし、基本的には「職責を果たすために、必要があれば残業を行う」ことも含めて会社と契約を結んでいるのです。

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