BDRの立ち上げは大きく分けて8ステップに分かれます。それでは段階を追ってご紹介していきます。
まず第一に、戦略の設計を行います。ターゲットとするセグメントによって、使用する営業チャネル、推定顧客数、人材に必要なケイパビリティなどが変わります。組織の立ち上げを始めるにあたって、上段の目標を定めることからスタートします。
営業戦略は、以下の3つの要素に分解できます。これらの要素を、将来的な展開を含めてリソース配分を行うことが重要となります。
(1)セグメント
市場を開拓していくための戦略の初手として、セグメントを決めます。最小のリソースで最大の成果を得られるように、リソースを投下する対象を選択し、優先順位に基づいて集中させることで、生産性の向上を見込めます。
ターゲットとなるセグメントが設定できたら、現場が活動できるようにオペレーションに落とし込むことが重要です。
例えば、事業を立ち上げたばかりのスタートアップ企業であれば、成果創出と自社のブランド価値、競合への影響度を鑑み、企業規模を軸にターゲットを選定できます。大企業は優先的なターゲットとなり、中小企業は成長性や対外的な影響を勘案し、ターゲットとする企業を選定します。
また、自社が販売する製品・サービスとのフィット性が高い業態かどうかも重要な軸となります。下記の図ではターゲットを非常に簡便にセグメントしていますが、BtoBを優先的に攻め、BtoCでも商材単価が高い業態はアカウント開拓の可能性があるので、感触を得るためにトライアル的に狙いにいくなど、判断軸を明確にした上で対象企業をリストアップします。
(2)営業チャネル
ターゲットに定めたマーケットを開拓するために、どのチャネルからアプローチするのかを検討します。新規チャネルとしてBDRを立ち上げる場合は効果が出るまでに一定時間がかかることを念頭に置き、各チャネルでかかる販売期間や必要な行動量を加味した上でリソース配分を行います。
(3)オペレーション
BDR組織に閉じず、部門横断的に顧客データの連携なども加味した全体最適なオペレーションを構築することが重要です。
特に、組織の立ち上げと共にテクノロジーを導入する場合は、データ連携や業務連携の仕組みの詳細を詰めて、運用可能な営業オペレーションを構築します。
次に、BDR組織に所属する人材に必要なスキルセットを定義しましょう。社内人材を登用する場合でも、新たに採用を行う場合でも、将来的に人員を増やすことを前提とするBDR組織では、チームとしてどの部分のケイパビリティが必要か、または不足しているかを把握した上で、必要なスキルセットを定めることが重要です。人材のミスマッチや早期退職、成果創出までの長期化といった採用・育成リスクを低下させるためです。
スキルセットについて「knowledge」「skills」「will」 の3要素に分解してご説明します。基本的な項目については以下の図の通りですが、目指していく組織の実情に合わせてカスタマイズしてお使いください。特に BDRにおいて求められる知識をハイライトで記載しています。
Knowledge
前回も触れた通り、BDR は「ABM戦略(アカウント・ベースド・マーケティング)」と相性がよく、アカウントの開拓による社単の拡大が期待できるエンタープライズ営業を担当する重要ポジションとして立ち上げられることが多いです。
そのため、大手企業の組織構造理解や多様な産業のビジネスモデル理解、各種ツール(Googleアプリ/営業支援ツール)の活用リテラシーといった、ナレッジのある人材が歓迎されるでしょう。
Skills
BDRは、ターゲットとなる相手の立場、業界、時期など、相手方の状況に応じて、コミュニケーションの内容を微調整することが求められます。当然、その中には執行役員をはじめとするエグゼクティブ層も含まれます。
そのため、必要な文言のみで内容を表現できるピッチ力、少ない情報から課題を見極める仮説構築力や、どんな相手にも分かりやすく伝えられるメッセージライティングのスキルが基礎力として求められるでしょう。
Will
Gartnerが発表している調査では、見込み客と電話でつながるためには、平均18回以上の電話を試みる必要があると言われています。日常的に断られることが多くなる中で、既成概念にとらわれず、少しでも興味を持ってもらうための独創的なアイデアを生み出す意欲、忍耐強さ、また顧客の事業成長を強く願い提案し続けるマインドが必要です。
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