マーケティング・シンカ論

生成AIは「どこまで」コンタクトセンターの仕事を奪ったのか 人間がやるべき仕事は?(3/3 ページ)

» 2023年11月29日 08時00分 公開
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コミュニケーションが自動化される時代で求められるものとは

 生成AIがこのまま進化していった未来では、この世界にある知識や情報、データが、ほぼ生成AIに埋め込まれるでしょう。つまり、あらゆる問いに対して受け答えができるようになります。デジタルマーケティングの未来では、生成AIが企業や各ブランドのらしさを体現(個別最適化)したコミュニケーションや振る舞いを、滑らかな会話で実現していることに加えて、顧客の行動の結果情報がひも付けられるようになります。

 例えば、AIが接客した後に、Aさんは購入したが、Bさんは購入しなかったという結果になったとします。この結果と接客情報がひも付けることで、どのような受け答えをしていくと顧客が最終的に購入してくれるのか、その相関関係をAIが自動で学習していきます。そこにはさまざまな変数があり、普段接客をする方は暗黙的に判断し行動していますが、この暗黙知の部分も解明が進むかもしれません。もちろん、どのようなロジックかは人間では説明がつかない領域ではあると思います。

 デジタルマーケティングでコミュニケーションが自動化される未来において、サービス提供時における人間の価値は何でしょうか? わたしは、顧客の声なき声を聞いて、意思決定をして、ブランドが消費者に約束するコミットメントを体現するために、プロダクトを磨き上げていくことだと考えます。人間の価値が原点回帰することで、また新たなブレークスルーが生まれていくでしょう。

著者紹介:森川 智貴(株式会社wevnal BX事業部 BOTCHAN AI事業責任者)

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慶應義塾大学卒業後、新卒で医療ITコンサルティング会社へ入社。

2018年8月wevnalに入社。BXプラットフォーム「BOTCHAN」の立ち上げに従事。現在は、BOTCHAN AI 事業責任者として、生成AI Saasプロダクト「BOTCHAN AI」の陣頭指揮を執り、多くの企業への導入を推進中。また、2018年9月よりAI論文解説に特化したメディア「AI-SCHOLAR」を立ち上げ、日本一のAI専門メディアに育てるべく奮闘している。


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