「思うように売り上げが上がらない」「マーケティングが効いているのか効いていないのかわからない」理由の多くは、戦略が論理的に組み立てられていないことに起因しています。本連載では、マーケ戦略策定に潜む10の落とし穴とその解決法を解説していきます。どうすれば「筋の良い」マーケティング戦略を組み立てることができるのか?――トライバルメディアハウスのマーケ戦略塾、開講です。
前回は「筋の良いマーケティング戦略が描けない理由」の後半戦にあたる「そもそも問題」として、マーケ課題の特定を誤ると、必然的に施策の効果測定前に失敗が確定してしまう「効果測定の罠」について解説しました。
今回は、短期的な成果を追いすぎると中長期的な競争力を削ぎ、長い目で見るとむしろマーケティングROIを下げてしまうリスクについて解説します。
マーケティングの目的は、消費者に買ってもらうことです。そして「伝えること」が仕事のマーケティングコミュニケーションの目的は、消費者に買ってもらうために商品やサービスが持つベネフィットを伝え、「欲しい」「買いたい」と思わせることです。
では、あなたの商品を「欲しい」「買いたい」という消費者の「欲求」や「気持ち」は、どのようなプロセスでつくられるのでしょうか。また、それは「どのくらいの時間軸」でつくれるものなのでしょうか。
コンビニエンスストアには約3000種類、食品スーパーやドラッグストアには約1万〜3万種類、大型スーパーやホームセンターには約10万種類もの商品が並んでいます。一般消費財だけでなく家電や電子機器、アパレル、化粧品、自動車、保険、家具、住宅、それ以外にも膨大な数の小売店や外食店、旅行先(地域や町)、レジャー、ホテルや旅館があります。
つまり、消費者が日常生活を送る中で存在する「購入意思決定の選択肢」は数十万以上にも上るのです。この膨大な数の選択肢の中からあなたの商品を知ってもらい、「欲しい」「買いたい」「行きたい」と思ってもらうことは並大抵の努力では実現できません。
それにもかかわらず、(特にデジタルマーケターは)広告を打てば一定の割合で商品を買ってもらえると考えてしまいます。確かに、広告を打てば商品は売れます。しかしその売り上げは(ROAS:Return on Advertising Spendという指標にも色濃く示されているように)広告の出稿を止めた途端、獲得売り上げがゼロになることを意味します。
それはマーケティングコミュニケーションではなく、販売促進(Sales Promotion)的な広告戦術と言ったほうが正しいように思います。
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