「営業のエース」退職で大混乱 「天才」に頼らない組織どう作る?(1/2 ページ)

» 2023年12月25日 07時30分 公開
[和賀成哉ITmedia]

Q: 部の売り上げの大半を担っていた営業のエースが突然退職することになりました。その社員が担当していたクライアントのことは彼しか知らないので、今後どうしたらいいか分かりません……。

 エースが抜けることでチームの士気も下がっているし、そもそも彼が担当していたクライアントを引き継げるような優秀な社員もいません。これからどうしたらいいのでしょうか? 新たに穴を埋められる優秀な人材を採用すべきでしょうか?

組織開発 「営業のエース」が退職で大混乱 企業の対応は?(出所:ゲッティイメージズ)

「営業のエース」が退職で大混乱 企業の対応は?

 一部のトップパフォーマーに業績が依存しているため、エースが退職してしまうとその人個人が持っている仕事のスキルやノウハウが会社から流出し、会社全体の業績に深刻な悪影響が出ます。この状態でその人の穴を埋められる優秀な人材を採用しても、同じことの繰り返し。会社組織として非常に不安定な状態のままになります。

 まずは、一部のトップパフォーマーに頼らず、普通の社員が特別なことをしなくても良好な結果を出せる「営業の仕組み化」に取り組むべきでしょう。

属人化企業の特徴

 業務が属人化している企業には3つの特徴があります。

 1つ目は「他の人が業務を引き継ぐことができない」です。業務プロセスや仕事のノウハウはその人の頭の中だけにあるので、その人がいなくなったら企業には何も残りません。

 2つ目は「仕事ができていない人を責めてしまう」です。その人なりの経験や勘にもとづいて業務を行っているため、仕事ができていない人がいるとその原因が理解できず、「ちゃんとやれよ」「もっと頑張れよ」などとその人自身を責めるような言葉を発してしまうケースが多く見られます。本来、こういったアドバイスや指導は具体的な原因を指摘し、必要なアクションを提言するべきです。

 3つ目は「ルールがない、または形骸化している」です。明文化されたルールがないため、同じ業務をやるにしても担当者ごとにやり方が異なります。明文化されたルールがあっても「うちの部署はこういうやり方でいく」などとルールが形骸化していることもあります。

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