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まるで人間? “会話を理解する”電話応対AI、どう実現したのか後編(3/3 ページ)

» 2024年01月10日 07時30分 公開
[大村果歩ITmedia]
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声をデータに マーケティングへの活用も

 AIが基本的な問い合わせに対応することで、オペレーターがより重要な問い合わせに集中できるため、エンゲージメントや定着率向上につながっているという。

 「コストカットをすると言っても、誰もいなくなるわけではありません。残ったかたが気持ちよく働くためには、本当に人が担うべきことに人が集中できる環境が重要になります」(渡邊さん)

 今後は、問い合わせ内容をデータ化し、マーケティングに活用していく方針だ。

AI プロダクト営業本部渡邊友仁本部長

 「お客さまがどういう理由で電話してくるのか、問い合わせ内容をデータとして取得していこうと考えています。

 例えば、飲食店の予約であれば人数や利用用途、時間や季節の変動をマーケティングに生かすことができます。コールセンターであれば、商品の仕様に対する質問が多い場合、広告クリエイティブや説明に不備や分かりにくい点があったのではないか、などと改善点を究明できます」(渡邊さん)

LINE WORKSとLINE CLOVAでシナジーを 今後の展望

 LINE AiCallはLINE CLOVAの内の1つのサービスとして展開している。同社は今後、コミュニケーションツールLINE WORKSでのAI機能の開発にも注力し、新規顧客の獲得、既存客に対するアップセルを狙っていく方針だ。

 「LINE WORKSとAIのプロダクトの融合を強化していきたいですね。LINE WORKSのビジネスチャットをインタフェースとして、利用者が画像処理や音声処理のAIを使える滑らかな導線を作っていきたいです。

 例えば、現場で見積もりを写真で撮影し、画像処理のAPIにつないで注文をその場で完了する――といったイメージです。単品でのテクノロジーの進化はもちろん、LINE WORKSとAI事業が一緒になったシナジーをお客さまに享受してほしいです」(渡邊さん)

 「すでに450万人に使っていただいているプラットフォームにAIの技術を取り入れることで、もっと使いやすく、便利になると考えています。どんなユーザー体験を提供できるのかを、AI事業を担うメンバーと一緒に検討できることは大きいですね。

 あまり“AIAI”しない方がいいと思っているんです。『なんか便利になったな』と思ったら、裏でLINE CLOVAが使われているみたいな、自然な感じで体験していただきたいですね」(増田代表)

<前編:LINE WORKSはなぜ大成長できた? 「GAFAの隙」を狙い、ARR100億円達成

AI (左:プロダクト営業本部渡邊友仁本部長、右:増田隆一代表取締役社長)
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