今話題を集めている“一風変わった”、面白い仕掛けのある広告を取材し、狙いやこだわり、アイデアの原点を探る。
2023年の年の瀬、東京・六本木駅に一風変わった広告が現れた。「きつね」「月見」「天ぷら」「お肉」――。エスカレーターに沿った壁一面に、フレーズが一つ一つ、大きく張り出されている。
「関西人は歌える」と題されたこの広告、実は関西エリアではおなじみ、ヒガシマル醬油(兵庫県たつの市)のロングセラー商品「うどんスープ」のCMソングを表している。エスカレーターが進むごとに歌詞も進んでいき、ふとメロディーが頭を流れた関西出身者も多くいたに違いない。
SNSなどでも大きな話題となったこの広告は、一体どのようなアイデアから生まれたのか。同社広告部の相江謙吾(あいえ・けんご)さんに話を聞いた。
この広告が掲載されたのは23年12月25〜31日の1週間。“日本一深い地下鉄駅”として知られる都営大江戸線六本木駅に、ホームから改札に至る「長い」エスカレーターの全面を利用して掲出された。
「懐かしすぎる!」「心の中で歌った」――SNSでも大きな反響を呼んだ。
同社の「うどんスープ」は発売から50年以上の歴史を誇るロングセラー商品。お湯に溶かして味わえる粉末状の調味料で、北海道産の真昆布とカツオ節のコクをきかせ、うすくちしょうゆで仕上げた関西風のうどんだしだ。
品質はいずれも同じだが、西日本限定の8袋入り、東日本限定の6袋入りなどを販売。CMソングの歌詞も東西で微妙に異なる。例えばこんな感じだ。
西日本
「きつね、月見、天ぷら、お肉、鍋焼き、ヒガシマル、うどんうどんうどんスープ、うー!うー!」
東日本
「きつね、たぬき、天ぷら、月見、お肉、ヒガシマル、うどんうどんうどんスープ、うー!うー!」
結果的に、こうした歌詞の違いもうまく作用し、今回の広告からはさまざまなリアクションが生まれ、大きな反響へとつながった。どのような戦略を練って広告を掲出するに至ったのか。
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