それ、時短ハラスメントかも……「残業するな」と指導する上司に欠けている視点(2/2 ページ)

» 2024年02月15日 08時00分 公開
[和賀成哉ITmedia]
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まず取り組むべきは評価制度の見直し

 2019年4月に働き方改革関連法が施行され、残業時間の上限規制が法制化されました。

 簡単にいうと、残業をさせすぎてはいけないと法律で明確に定め、違反した場合は罰則の対象となりました。この残業時間の上限規制により、それまで事実上青天井となっていた「労働時間を自由に使って成果を生み出す」手法は使えなくなり、限られた労働時間で成果を出さなくてはならなくなりました。つまり、生産性の向上が会社にも労働者にも求められるようになったのです。

 労働者はどのようなときに生産性の向上に前向きに取り組んでくれるでしょうか? 労働者自身にとって何かしらのメリットがあるときです。自分に足りないスキルを研修で習得し、業務の平準化を行い、チーム内の人員配置を見直して毎月40時間あった残業時間を0にしたのに、年収は残業手当分の100万円下がってしまう……。こんな状態だとしたら、前向きに取り組む人は少ないでしょう。

 つまり、労働時間の短縮と評価制度をリンクさせるべきなのです。現在、「労働時間の長さ」と「給与の高さ」がリンクしているのであれば、同じ業務量であれば労働時間が短い方(生産性が高い方)をより評価する仕組みを作らなければなりません。

 この仕組みを作り実践できれば、残業代を稼ぐよりも、現在の業務を効率化したり、もっと質の高い業務にチャレンジしたりする方が、会社からの評価が高まり給与があがるので、労働者は前向きに生産性の向上に取り組んでくれるでしょう。

著者紹介:和賀成哉

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2007年11月に不動産業界から転職して社会保険労務士法人大槻経営労務管理事務所に入所。

入所以来、主に5000名超の大企業を中心にアウトソーシングサービスに従事し、2016年1月 大規模法人アウトソーシング事業部の部長に就任。

2017年3月 業務執行役員に就任。

2021年4月 OS局局長に就任。人事担当者向けの労務講座「オオツキ塾」の講師や管理職研修の講師も行う。


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