攻める総務

出社の価値をどう上げる? 「アロマ畑のようなオフィス」に「コワーキングエリアの稼働率向上」、各社のアイデア(2/2 ページ)

» 2024年04月09日 10時15分 公開
[小林可奈ITmedia]
前のページへ 1|2       

五感を刺激するオフィスで心理的快適性の向上を狙う

 先ほどのお話にあった通り、目指すべきところは心理的快適性が高いオフィスです。そのためにできることして、一つのノウハウをお話できればと思います。心理的快適性を高めるオフィス作りに必要なのは、聴覚以外の五感情報を刺激する要素を入れることです。

 五感による知覚について、視覚は「見た目がかっこいいオフィスを作りましょう」「アイデンティティーあふれるオフィスにしましょう、良い家具を置きましょう」「ソファー席を置いてコミュニケーションを取りましょう」とアプローチできます。

 しかし、人間はなかなかそれだけでは反応してくれません。比率で見ると、耳の情報は1割ほど。香り、嗅覚の情報は3%ほどなんですけども、人間はクロスモーダルと呼ばれるような五感の相互作用を受けます。

 このあたりをうまく取り入れていくと、心理的快適性の高いオフィスになっていきます。ブランディング、帰属意識にも寄与していくオフィス環境が作れるんじゃないかなと。

 ハード構築とは、家具や床、壁、天井の見た目ですね。物理快適性に関してプラスアルファのソリューションができるところに対して、視覚や聴覚、味覚を担保したオフィスは、心理的快適性、機能的快適性が満たされたオフィスになります。

 音を使った場合に、どんなことができるのか。「音漏れがひどい」「Web会議をしていると、隣の声が入ってくる」「会議室が占領されてしまう」といった問題を解決する方法があります。加えて「会話が弾む空間を作りたい」「リラックスな空間を作りたい」という希望に寄与できるところがあるのではないかと。

立体音響で帰属意識を高めるアプローチ

 最後に事例の紹介です。ライオン様の事例で、本社を移転されまして、主要フロアの音空間を演出しておられます。

 1階のエントランスは、アロマ畑を演出するようなすごく見た目に気を使われたオフィスで、アロマ畑にいるような香りを想起させる音をさりげなく流す空間演出を、立体音響によって再現しました。

 来客エリアには、上にあるカフェテリアやR&Dのブースにも、おのおのに合わせた空間演出を入れることで、五感を想起して、帰属意識を高めていくことにも貢献するのが狙いです。

 またコワーキングオフィスの事例で、当社の本社があるpoint 0 marunouchiというオフィス。「『働く』を再定義する」として、オフィスの中に多様な状況の場所を作っています。

 チェアやソファーなど、幅広くありますが、ワークシーンがやはり異なりますので、音の大きさをグラデーションさせたいという高度な要望に対して、当社のサービスを活用して、特性に応じた環境設定を可能にした実例です。

photo コワーキングエリアを設ける企業が増加(提供:ゲッティイメージズ)

稼働率が落ちたコワーキングエリアに、音や香りの演出を実施

 最後はですね、ワークスペースのリプレースというところで、三菱地所の新しいオフィスにですね、納入した事例です。三菱地所様は18年に本社の移転を実施され、設けていたコワーキングのエリアの稼働率が、コロナの後にすごく低くなりました。ここの稼働率を上げる施策として何かできないかということで、音や香りの演出をご相談いただいております。

 データを取り、実際にどういう使われ方をしているのかや、どういうソリューションが良いのかを検討しながら、具体的なオフィスを作っているところです。

 居心地の良いオフィスを作るのは、短期的には費用のかかる投資という側面もありますが、従業員の働き方に貢献するソリューションになります。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.