「メディアは不正、不正って騒いで“日本車の信頼失墜”とか批判しているけれど、日本の自動車メーカーは独自に世界一厳しい基準で性能試験をしているので、安全性にはなんの問題もない。日本の競争力を奪いたい連中の揚げ足取りだろ」
「日本の自動車メーカーの職人気質やカスタマーファーストの効率化が、国の時代錯誤的な制度にマッチしなくなっただけだ。悪質性もないしこんなもん不正のうちにも入らない」
自動車メーカー5社が、自動車を大量生産するために必要な「型式指定」を取得するための性能試験で不正を行っていた問題を受けて、ネットやSNSではこんな「擁護論」が盛り上がっている。火をつけたのは、トヨタ自動車の豊田章男会長による謝罪会見での「ぶっちゃけトーク」である。
「今日の会見で言うべきじゃないんですが、やはりこれをきっかけに、国とOEMがすり合わせをして、何がお客さまのために、そしてまた日本の自動車業界の競争力向上につながるか、制度自体をどうするのかという議論になっていくといいなというふうに思います」
ご本人がおっしゃるように、「不正企業側」がこのような問題提起をすることは企業危機管理では御法度とされる。聞きようによっては「そもそもこんなしょうもない制度があるからいけないんですよ」と国にケンカを売っているように受け取れるからだ。
しかし、この「提言」が、専門家や業界関係者だけではなく自動車ユーザーのハートに火をつけて冒頭のように、「マジメな民間に不正をさせてしまうような時代遅れの制度が悪い」といった擁護論が盛り上がったという流れだ。
そんな「認証制度バッシング」を見ていてつくづく感じるのは、「日本はブルシット・ジョブで成り立っている」というシビアな現実である。
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