それは海外企業を見れば明白だ。ビジネスの世界でよく言われることだが、日本は「テストマーケティングに最も適している国」だ。人口が1億人もいて、生活水準もそれなりに高いので消費意欲もある。しかも、客は品質やサービスに世界一うるさいので、ここで顧客満足を得られれば基本的にはどこの国でもやっていける。
もはや過去の栄光ではあるが、「メイド・イン・ジャパン」が世界を席巻したのは、日本人技術者の手先が器用とかいうレベルではなく、「先進国で世界2位の人口規模を誇る市場」と「品質やサービスに厳しい消費者」によって、鍛え上げられた点も大きいのだ。
そのため、かつては「日本市場」を狙って、世界中からさまざまな企業が参入を検討した。が、自動車市場を見ても分かるように、外資系企業はそれほど入ってきていない。日本社会にまん延するブルシット・ジョブのおかげだ。
経済産業省の「令和4年度わが国のグローバル化促進のための日本企業および外国企業の実態調査報告書」を見ると、外国企業が考える「マイナス要素」がまとめられている。
「規制や制度といった観点では『行政手続きの煩雑さ』や『事業規制の開放度』といった弱みも挙げられており、実際に外国企業からは『オープンでない』や『官僚主義で非効率』『煩雑な紙ベースの税制および規制要件』といったコメントも散見されており、このような点も日本のビジネス環境の魅力度を下げている一因であるといえる」
つまり、「閉鎖的なムラ社会で行政も民間もブルシット・ジョブが多い」というのは、日本に進出したい企業にとっては大きな「マイナス」だが、新規参入をしてほしくない国内企業にとっては、自社の権益を守ってくれる心強いサポートとなっている。
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