ここで「理想的な顧客体験」について、RevOpsを実行する立場から考えてみたいと思います。
米Harvard Business ReviewはCustomer Experience(顧客体験)を「顧客が企業と接する全てのインタラクションの総和」と定義しています。
また、米Gartnerは「サプライヤーの従業員、システム、チャネル、製品とのインタラクションによる単発的、累積的な影響によって顧客の内部に引き起こされる認識と情緒」と定義しています。
これらの定義に基づきRevOpsを実行する立場から再考すると、理想的な顧客体験とは「全ての売り上げプロセスで顧客(自身)に関する情報が共有されており、顧客(自身)の状態・文脈に応じた価値が連続的に提供される体験」と言えるのではないでしょうか。
簡潔に示すと「理想的な顧客体験」とは顧客の状態・文脈に応じてパーソナライズされた体験と再定義できます。
例えば、米国のあるソフトウェア企業などは、顧客にサービスの利用イメージをつかんでもらう入口として、個人情報の登録や費用などは一切不要のサービスツアーのようなものを提供しています。興味を持った顧客はその後、業界や事業規模に応じてパーソナライズ化されたデモを体験することができるので、カスタマージャーニーの認知の段階で業務における利活用までなんとなくのイメージをつかむことができます。
そこで受注にならなくても、その後顧客が訪れた展示会やウェビナーといった多様なタッチポイントに応じて、パーソナライズ化されたアクションやコンテンツを提供することで、顧客の信頼が醸成されたタイミングで受注につなげることができます。
こうした顧客の状態・文脈に応じたパーソナライズな体験を「より多くの顧客に高い精度で届け続ける」鍵となるのが、RevOpsとAI(生成AI含む)です。
RevOpsの実行を通じてテクノロジーとオペレーションが統合運用されることで、収益や顧客体験価値の向上を目的とした構造的かつ上質なデータを蓄積できます。これによって、組織横断で顧客ライフサイクルに応じてパーソナライズ化された体験を提供できるようになります。
また、AIは構造化されたデータを基に「正しい目的に沿った学習」を繰り返すことで、従来の定型レベルのオペレーションの効率化ではなく、定型レベルを超える高度な顧客対応の自動化やパーソナライズを可能とし、収益拡大に寄与します。
例えば、LTVが高まった顧客の特徴および売り上げプロセスのパターンをAIが学習し、組織のベストプラクティスを再現し続けるといったことも可能となります。
そして、AIはRevOpsで最適化されたデータを読み取り、人が実行していた営業活動を代替します。具体的にはリアルタイム音声認識により営業活動の支援を行う Conversational Intelligenceや、ChatGPTをはじめとする Generative AIは、定型業務の自動化や大量データからのインサイト抽出によって営業活動を飛躍的に効率化させます。
このRevOps×AIのサイクルが回ることで、人が顧客体験に向き合う時間が大幅に創出され、収益へとつながる非定型的な業務に集中できます。
このように「RevOps×AI」のサイクルを駆動させることが、理想的な顧客体験(顧客の状態・文脈に応じたパーソナライズな体験)を、より多くの顧客に高い精度で届け続けることを可能とし、“抜本的な収益・顧客体験の向上”を実現するための一つの道筋となるのです。
※AIを活用するための構造的なデータの詳細については、こちらの記事を参照
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