前回は、AIやBPaaSなどの新たなテクノロジーやソリューションを営業組織に組み込むために米国で注目を集めるRevOpsを取り上げ、RevOpsが日本企業にも浸透し始めていること、また成果へのインパクトなどを解説しました。
第2回となる今回は、日本企業がRevOpsを実行するための障壁とあるべき姿について、NTTデータにて収益・顧客体験価値の最大化および組織的な営業力強化・生産性向上に向けた総合サービス「デジタルサクセス(R) CXイノベーションサービスfor B2B」の企画・展開をリードする宮地貴照氏と、Google Japanで営業統括部長、freeeで営業統括役員を歴任し、現在はMagic Momentの代表を務める村尾祐弥氏が解説します。
<前回の記事:「THE MODEL型」の弊害はAI活用にも 米国の営業組織が重要視する「RevOps」とは>
前回の記事でRevOpsとは、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスなどの分業化された組織・プロセス・テクノロジー・データを統合することを重視して「収益・顧客体験価値の最大化」を目指す役割・活動とお話しました。
RevOpsを実行するためには、日本企業のDXに向けた本質的な課題から理解する必要があります。
まず、日本企業のDXの変遷を簡潔におさらいします。
経済産業省は2018年に通称「DXレポート」を発表。日本企業のDXが進まなければ2025年以降に日本全体で最大年間12兆円の経済損失が発生するという、いわゆる「2025年の崖」を指摘し、早急にDXに取り組むべきと警鐘を鳴らしました。
最新版の「DXレポート2.2(2022年発表)」によると、DXに取り組む企業は増加しているものの、依然としてデジタル投資の約8割を既存ビジネスの維持・運営が占めています。12兆円の経済損失を補うような抜本的な収益・顧客体験価値の向上につながるデジタル投資は増えていない実態が明らかとなりました。
本来、DXは“抜本的な収益・顧客体験価値の向上”を目的に「組織横断でのプロセス・事業・ビジネスモデルのデジタル化」(デジタルトランスフォーメーション)を目指すもので、極端な例としては、既存のタクシー事業をDXしてUberのようなタクシー配車システム事業に変貌させるような取り組みを指します。
しかし、日本企業のDXに向けた取り組みの多くは、下図で言うデジタライゼーションといった「個別の業務プロセスのデジタル化」にとどまっています。結果、周辺業務との不整合や相乗効果の機会損失が発生し“抜本的な収益・顧客体験価値の向上”まではたどり着けないのが現状となっています。
その主要因は、マーケティングや営業など収益を生み出す部門(以下、営業組織)では自組織にとっての効率化が優先され、組織横断でのデジタル化どころか、逆に組織間の分断が進行してしまう点にあります。
例えば、本来はDXの一環で導入されたCRM・SFA・MAなどのテクノロジーが、組織ごとに最適化されることで、各組織のテクノロジー・データは分断され、組織・プロセスの分断を助長するケースも存在します。
つまり、日本企業のDXに向けた本質的な課題とは、DXに伴う分断のメカニズムの理解・コントロール不足だと言えるでしょう。
これから解説する「RevOpsの実行に向けた障壁」も、その根底には、日本企業のDXに向けた本質的な課題があるということを念頭に置く必要があります。
「THE MODEL型」の弊害はAI活用にも 米国の営業組織が重要視する「RevOps」とは
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