マネーフォワードが経営管理システム市場で攻勢を強める。上場企業のアウトルックコンサルティング(東京都港区)に対するTOB(株式公開買付)で過半数の株式を取得。約36億円を投じ、グループ会社化した。
さらに2018年からグループ会社として展開してきたナレッジラボを株式交換で完全子会社化。両社と新設するマネーフォワードクラウド経営管理コンサルティングの3社体制で、経営管理システム市場に本格参入し、いまだに手作業とExcelが主流の経営管理にメスを入れる。
「業務効率化のサポートから企業の成長支援へ」──マネーフォワードの山田一也グループ執行役員は、今回の戦略についてこう説明する。企業の意思決定の質とスピードを高め、事業の成長を支援していく。その手段として経営管理領域に本格的に取り組む決意を固めた。
背景には、急速に拡大する経営管理システム市場の存在がある。調査会社ビジネスリサーチインサイトによると、世界の企業業績管理(CPM)ソフトウェア市場は2032年までに312億2000万ドル規模まで成長すると予測される(※)。日本でも、経営の可視化や意思決定の高度化を目指す企業のニーズが高まっている。
マネーフォワードの成長が止まらない。2024年11月期第3四半期(6〜8月)の定期収益を年換算したARR(年間経常収益)は前年同期比32%増の279.6億円に達した。10月に始まったインボイス制度への対応需要も追い風となり、法人向けバックオフィスSaaS事業の新規契約は過去最高を更新。第3四半期の法人顧客純増数は1万651社と過去最大になった。
同社の強みは、会計や人事労務など業務効率化のためのクラウドサービスに加え、資金繰り改善のためのフィンテック事業、そして経営管理ツールとコンサルティングを組み合わせた総合的なソリューション提供にある。会計データと予算実績を連携させ、さらに融資や請求書買取などの金融サービスも提供することで、企業の経営改善を多角的に支援できる体制を築いている。
そんな同社が次なる成長の柱として見据えるのが企業の成長支援、その第一歩が経営管理システム市場への参入だ。経営管理領域の事業を担当する島内広史執行役員は「中小・中堅企業は経営管理をExcelで我慢してきた。クラウドで価格帯が手の届く範囲になり、一気にシステム化が進む可能性がある」と話す。
実際、この市場では2019年創業のログラスが急成長を遂げている。同社が手掛ける経営管理クラウド「Loglass経営管理」は2022年4月以降、導入企業数を6倍以上に伸ばし、市場シェア35%でトップに立つなど、経営管理市場への注目度が急速に高まっている。
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