「今後はクリーニングのノウハウを家庭用に変換していきたい」と浅川氏は語る。洗濯は誰もが日常的に行うライフワーク。その作業をよりプロフェッショナルなレベルに引き上げることが、次なる目標だという。
この「クリーニング技術を家庭用に」という構想の背景には、業界の根本的な課題認識がある。従来の石油を使用するドライクリーニング方式は、環境負荷の観点から時代に合わなくなってきている。このままでは業界の未来は厳しい。
そこで浅川氏が注目したのが「ムクロジ」という木だ。世界的に知られる天然洗剤の原料だが、これを蒸留してエタノールを生成し、石油の代替として活用する新しい手法の研究開発を進めている。「世界でまだ誰も取り組んでいない挑戦」(浅川氏)。新たに研究ラボも開設した。
累計80万個を突破したスポッとるは海外展開もしており、台湾や中国、香港などで販売。ドン・キホーテだけでも5万個を出荷したという。
クリーニング店に嫁いだ女性が、顧客の「シミ抜きをしてくれ」というニーズに応えるために奔走した結果、クリーニング技術の民主化から環境配慮型の新技術開発まで進めるとは、誰が想像しただろう。今後の動向にも注目だ。
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