日本企業で働く人のうち、その割合が高い職種の1つに「営業職」が挙げられる。しかし、営業専門の教育機関は存在せず、多くの企業では現場でのOJTを中心に営業スキルを育成している。
そんな営業という職種について「営業しない営業」という新たな考え方が注目を集めている。
なぜ営業をしない営業が求められるのか。どうすれば顧客に選ばれる営業になれるのか――。コンサルティング会社カクシンのCRO兼エバンジェリストで、キーエンスで営業ランキングトップの実績を上げた経験を持つ天野眞也氏が解説する(※)。
※本記事は2024年12月17日にセレブリックスが実施したセミナー「キーエンス出身トップセールスの天野眞也が伝授! お客様が購入したくなる『シン・営業力』」の内容を要約したものです。
天野氏は冒頭、参加者に「営業になりたくて営業職に就いた人はいますか?」と質問を投げかけた。同氏によると、営業職を希望して社会人になる人はほとんどいないのだという。その理由を、以下のように解説した。
「日本には営業という職種が800万人から1000万人おり、職種としては一番多いと言われている。しかし、専門の営業高校や営業大学というものがない。体系的に営業を学ぶ機会がないため、“営業”と言われてもどんな仕事なのかピンとこない方が多いのではないか」
天野氏は、営業という仕事において大切なのは「言語化」「構造化」だと指摘する。しかし現状の日本では、営業の本質を理解するチャンスが少ないのが課題となっている。
営業人口は多いにもかかわらず、学生時代も社会人になってからも、営業を体系的に学ぶ機会がほとんどない。そのため、日本には「誤った営業のイメージ」が根付いていると天野氏は続ける。
「会社のドアをコンコンと叩いて、扉が開いたら足を滑り込ませて閉められないようにして、その間に畳み掛けるように営業をする……。そんな『押し売り』のイメージを持っている方の話をよく聞く」
以前の営業なら、押し売りでも成果を出せたのだろう。しかし時代は移り変わり、その方法では立ち行かなくなってきている。天野氏はその理由を「30〜40年前は、三種の神器と呼ばれたエアコン、洗濯機、テレビなどが一般家庭にない時代だった。そのため『こんな良いものがあります』と伝えること自体が、営業としての価値になっていた」と解説する。
当時はインターネットもなく、「ない」ものを「ある」と伝えること自体が営業の重要な役割だった。そして、そうした商品を欲しがる顧客も多かった。しかし、現代ではどうだろうか。ないと生活に困るような、本当に足りないもの、持っていないものはほとんどないはずだ。
私たちは「ない」から「ある」の時代ではなく、「ある」から「ある」の時代を生きている。だから、今の時代の営業は、「押し売り」では立ち行かないのだ。
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