「外国人観光客=悪」の構図は本当か? ニセコの現実と報道の落とし穴スピン経済の歩き方(4/8 ページ)

» 2025年02月19日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

マナーの悪さに国籍は関係ない

 テレビで外国人観光客の迷惑行為やゴミのポイ捨ての映像がよく流れているので、この問題は「外国人観光客」、特に「民度」に影響されるものだと思っている人も多いだろう。

 だが、実は国籍は関係ない。マナーの良い中国人観光客もいれば、マナーの悪い日本人観光客もいるものだ。しかも、後者に関しては身内びいきで目をそらしがちだが、石を投げれば当たるほど世にあふれている。

 その不都合な真実が浮かび上がったのが「コロナ禍」だ。忘れている人も多いだろうが、この時期、日本の観光地ではゴミや騒音問題が多く発生していた。

各地でゴミや騒音問題が多く発生(画像はイメージ)

 筆者自身も、神奈川の某海岸でバーベキューを楽しんだ人々が、食べかけのゴミやワインなどの酒瓶、バーベキューコンロ、さらにはキャンプチェアなどを放置したまま、逃げるように走り去っていく驚きの光景を目撃したことがある。

 言うまでもなくこの時期、日本国内には「外国人観光客」なる人々はいない。新型コロナウイルス感染防止のため、入国制限がなされていたからだ。つまり、日本全国の観光地で発生していたゴミ放置や悪質マナー違反は、日本人自身が引き起こしていたものだった。

 今、ニセコで問題になっているようなことをマスコミは「外国人観光客=加害者、日本人=被害者」という分かりやすい構図で語っているが、外国人観光客が押し寄せる前に長く観光地を荒らしてきた「日本人観光客問題」を放置してきたツケがまわってきている面もあるのだ。

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