トレンズ氏は、日本企業のIT人材の低賃金を改善するために、以下のようなことが必要だと提言した。
「IT人材の給与を改善する答えとしては、結論的には経営者がマインドセット(意識改革)するしかない。すでに日本ではIT人材が不足していて、倒産する企業も増えてきた。経営者はこのことに気付き、早急にIT人材の給与体系を見直すべきだ」
IT人材の獲得競争は日本だけでなく、海外でも激しくなっているという。国内だけでは優秀な人材を確保できなくなっているため、海外で調達を増やす動きもある。しかしIT技術に関して評判の高い大学の卒業生(主に修士課程卒業)は、就職時に給与の高い企業を選ぶため、欧米や中国系企業を選択する傾向が強い。
こうした厳しい状況の中で、優秀なIT人材を獲得するには、海外の大学にまで足を運び、日本企業の良さを直接PRする必要性も出てきている。
多くの社員が年功序列の賃金体系で勤務する中、日本企業ではデジタル系の人材だけを実力主義によって特別に処遇することへ抵抗感がまだ残っている。これを緩和するため、数年前からニトリやカインズなど一部の大手では、本社と別の小会社を設立し、その子会社でデジタルIT人材を採用する形を取る動きも出てきた。
数年前に富士通、NECなどが優秀なIT人材に数千万円の年収を支払うといった特別な人事制度を設けた。その後、採用活動で成果があったという話もあまり伝わってこない。仮に一人だけ飛び切り優秀な人材を獲得できたとしても、最近の先端技術開発はチームワークを持って取り組む傾向が強く、なかなか具体的な成果に結び付きにくい実態もある。
このような環境の中で、どれだけの企業利益をIT人材の給与改善に振り向けていけるのか。経営陣の決断力が問われている。
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