4割が「転勤」で転職を検討ーー。そのような結果がエン・ジャパン(東京都新宿区)による調査で明らかになった。転勤は、新たな土地でのキャリアアップにつながるチャンスでもある一方、負担も大きい。経験者の考える、転勤して「良かったこと」「良くなかったこと」とは。
49%が転勤の経験があると回答した。業種別で見ると「メーカー」「金融」の転勤経験者が最多となり、それぞれ60%に上った。また、67%が転勤の際は「単身赴任をした」と回答。約3人に2人が単身赴任を選んでいることが明らかになった。
転勤をきっかけに退職を考えたことが「ある」とした人は42%に上った。そのうち、「実際に退職した」人は8%だった。
回答した人からは「転勤の辞令が出たが、新たな土地に新居を構えたり、人間関係が変わってしまったりするのであれば、転職をして家族への負担を最小限にしたほうが良いと思い、転職した」(30代男性)、「単身で関東から関西に転勤し、3年ほど勤めたが関東に戻る話が出てこず、退職した」(40代男性)といったコメントが寄せられた。
転勤期間については、57%が「1〜5年程度」(1〜3年程度:34%、3〜5年程度:23%)と回答。また、転勤回数については「1回」が最も多く33%。「4回以上」は年代が上がるごとに割合が高まる結果となった。転勤場所については、海外では「中国」(15%)、国内では「東京都」(19%)が最多となった。
転勤を経験して良かったことについて、最も多い回答は「知らない土地・環境を知る機会になった」となり69%に上った。以降は「仕事の人的ネットワークが広がった」(53%)、「自身の能力が向上した」(45%)と続いた。
回答した人からは「知らない場所に住む中でいろいろなことを調べるため、仕事もプライベートも自分の知識の引き出しが増えたと感じる」(30代男性)、「転勤で責任者として着任し、新たにできた部下の成長に貢献したいという気持ちが芽生えた」(30代男性)といった回答が集まった。
一方で、良くなかったことについては、「単身赴任で家族と離れ離れになった」が最も多く35%。「特にない」(24%)、「退職のきっかけになった(退職した)」(18%)と続いた。「退職のきっかけになった(退職した)」という回答は世代間での乖離(かいり)が最も大きく、30代では31%に上った一方、50代では16%に留まる結果に。若い年代ほど転勤への抵抗が大きいと伺える。
回答した人のコメントでは「家族と過ごす時間が大幅に減少し、家庭関係が悪化した。出張所は会社で初の試みだったため、相談相手がおらず孤独を感じた。プライベートを大変犠牲にした」(30代男性)、「姪や甥の成長を間近で見れなかった。また、妹に親の介護を頼むことになってしまった」(50代女性)といった意見が見られた。
今後、転勤の辞令が出た場合について、半数以上が承諾すると回答した。転勤の仕方別で見ると、「家族で赴任する場合」に関しては51%、「単身で赴任する場合」に関しては65%が「承諾する」「条件付きで承諾する」とした。
承諾する理由については「その会社で働いて貢献できるのであれば、場所は関係ないと考えるため。また、条件次第ではキャリアアップや年収アップにつながる可能性があるため」(30代男性)といった回答が寄せられた。また、「持ち家のため、家族同伴はできない。単身であれば、条件次第で考える」(50代男性)といった意見も見られた。一方で「条件に関係なく拒否する」とした人からは、「家族が第一であり、子供の成長を見守りたい」(30代男性)という理由が挙げられた。
調査は2024年11月14日〜2025年1月9日にインターネットで実施。同社の運営する転職サイト「ミドルの転職」を利用する35歳以上のユーザー2018人から回答を得た。
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