永続的なコラボレーション契約を結ぶことで、GUとUNDERCOVERには以下のような効果があると考えられる。
1.ブランド価値の向上
期間限定のコラボではなく、常に新作が期待できるラインとして消費者に認知されれば、「UGはいつ買ってもデザインや品質が良い」といった評価が浸透しやすい。価格と価値が一定以上のレベルを保てれば、長期的なブランドロイヤルティーを築くことができる。
2.新規顧客の獲得と市場拡大
UNDERCOVERというハイエンドかつストリート感の強いブランドに魅力を感じる顧客層は、従来のGU顧客層とは必ずしも重ならない。そうした新しいファン層を安価なラインで取り込みつつ、両ブランドの世界観を拡充できる可能性がある。
3.ファストファッションを超えるポジションの確立
「低価格だけど、かなりオシャレ」という位置づけは、従来のファストファッションのイメージから抜け出すための突破口となり得る。こうした上位次元のポジショニングを継続できれば、競合他社にはない差別化を図ることができるだろう。
今後、「UG」は春夏だけでなく、秋冬コレクションも投入し、継続的にアップデートされていく見込みである。UNDERCOVERの高橋盾氏が培ってきたクリエイティブ力と、ファーストリテイリングが誇る大規模生産・販売管理システムを掛け合わせることで、驚きとコストパフォーマンスを両立させたラインアップを送り出すことが期待される。
ただ、ファッションのトレンドサイクルは短期化しており、消費者のニーズも多様化している。常に新鮮な企画を提供し続けなければ飽きられてしまうリスクがある。そのため、「UG」の永続化という挑戦には、相応のリソース投下と柔軟な商品開発体制、そして継続的なイノベーションが求められる。GUが、今後「低価格なのに、かなりオシャレ」というスーパーバリュー路線を安定して走り続けることができるかが、勝負の分かれ目となるだろう。
「UG」が新しい顧客を獲得し、GUを第二の成長エンジンに育てる起爆剤となるのか。まだ始まったばかりの永続コラボレーションだが、今後の展開を追い続けたい。
有限会社金森マーケティング事務所 マーケティングコンサルタント・講師
金沢工業大学KIT虎ノ門大学院、グロービス経営大学院大学の客員准教授を歴任。
2005年より青山学院大学経済学部非常勤講師。大学でマーケティングを学び、コールセンターに入社。数万件の「本当の顧客の生の声」に触れ、「この人はナゼこんなコトを聞いてくるんだろう」と消費者行動に興味を覚え、深くマーケティングに踏み込む。(日本消費者行動研究学会学術会員)。
コンサルティング会社・広告会社(電通ワンダーマン)を経て、2005年に独立。30年以上、マーケティングの“現場”で活動している「マーケティング職人」。マーケティングコンサルタントとして、B to B・Cを問わず、IT・通信、自動車・電機・食品・家庭用品メーカー、金融会社、生損保、自動車販売、EC等、幅広い業種に対応し、新規事業・新商品開発・販売計画・販売のテコ入れ案・コミュニケーションプランの策定等、幅広くマーケティング業務の支援を行っている。講師としても業種を問わず、年間100コマ以上の企業研修に登壇。コンサルティング経験を元に企業課題に合わせた研修のオリジナルのコンテンツやカリキュラムを提供。研修によってマーケティングを「知っている」だけではなく、「業務に生かせるようになること」にこだわっている。執筆は、「初めてでもマーケティングが楽しく体系的に学べる本」をテーマに10数冊刊行。「3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング」(同文舘出版)など。
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