――未来を見通して投資していく上で、CTOとしてどのようにその判断をするのでしょうか。
当社は売り上げの約4%を研究開発投資に回しています。これにはコーポレートの研究所もありますし、各事業ラインで持っている研究開発もあります。最近の投資家向けの説明会では、投資比率を5%程度まで引き上げるべきだという意見も出ていて、私もその考えに賛同しています。NECは数兆円規模の売り上げを持つ企業ですので、研究開発への投資額も大きく、多額の資金をいかにして有効活用するかが課題となっています。
この課題に対して重要なのは、技術ビジョンを明確にし、NECとして価値を最大限発揮できる領域に投資を絞り込むことです。特に研究開発においては「人材」が鍵となります。世界中から優秀な研究者を確保し続けることが重要であり、そのためには各国の文化や研究者の考え方に配慮した環境作りが必要です。現在、日本、米国、ドイツを中心に優れた研究者を確保していますが、それぞれの地域で異なるニーズや好みに対応する取り組みも進めています。
また中期的な視点では、大学との連携強化も検討しています。これまでも大学との共同研究を積極的にしてきましたが、時代が進むにつれて大学と企業の役割分担が変化してきています。大学は基盤技術の育成と基礎研究を担い、企業はその技術をどう実装するかという知恵を提供する形によって協力関係を築く。この分担が重要だと考えています。このような役割分担を踏まえ、大学との連携をさらに有効活用する方法について現在、模索しているところです。
最終的には、中長期的な視点で技術ビジョンを描き、それに基づいて投資を判断することが不可欠です。これにより、NECが持つ強みを最大限生かしながら、新しい価値創造や社会貢献につながる技術開発を推進していきたいと考えています。
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