チョコパイブランドとして近年特に強化してきた取り組みが「高付加価値化」だ。
「チョコパイは、ケーキ生地でクリームをサンドし、周囲をチョコレートでコーティングするという独自の特徴を持ちながら、ケーキのような品質を追求してきた。その上で、近年はさまざまな付加価値を加えて、新商品を展開している」
なぜロングセラーブランドに新たな価値を追加しようと考えたのか。そこには、過去に苦戦した経験も影響している。
チョコパイブランドは、これまで周年記念のタイミングに収益面で苦戦した経験があった。例えば30周年の際には、コンビニのチルドスイーツが台頭した。40周年前後には、主要原材料の高騰により、ブランドとして初の値上げに踏み切り、売り上げが一時的に落ち込んだ。
ロッテグループのバリューの1つに、消費者の立場になって考える「ユーザーオリエンテッド」という言葉があり、定性や定量インタビューなどを通じて日々顧客の声を聞く文化がある。
過去の苦労を経て新たな取り組みを始める際にも、顧客の声を聞き、その裏にあるインサイトを、チームメンバーと徹底的に話し合った。その結果、現在の顧客がチョコパイに対して持っている価値は、「手の届くご褒美」であることが分かった。
「昨今は食料品だけでなく、さまざまな商品が価格改定で値上げしている。顧客の中で“値上げ疲れ”もある中で、比較的安価に手に入れられる、いつでもどこでも買える、ストックできる『手の届くご褒美』という価値を定義していきたいと考えた」という。
さらに「ロングセラーブランドとして変えるところ、変えないところ、変わらないところをしっかりと明確にしたうえで、変えるところを積極的に変えていくこと。チョコパイでいえば、変わらない価値が『手の届くご褒美である』と定義したとき、変えられる部分は多いと考えた」
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