こうした取り組みの結果、チョコパイブランドは過去最高の売り上げを記録したが、同社が考える人気の理由は何だろうか。
山田さんは、再定義した価値「手の届くご褒美」に加え、「40年間で社会を取り巻く環境が変化する中、昔からある信頼感や原体験からくる安心感があるのではないか」と話す。
とある顧客インタビューでは、幼少期に友人の家で食べたチョコパイに衝撃を受け、以降40代になっても家でチョコパイのストックを切らしたことがないという人がいたという。年齢やライフイベントの変化によってチョコパイを食べるシーンに変化はあるようだが、チョコパイが生活に溶け込んでいるという。
別の顧客インタビューでは、幼少期に親にチョコパイを買ってもらって食べていたが、年齢を重ね、買い食いをするようになると、一時期チョコパイから離れてしまう人もいた。そういう人へはコラボ商品や1個売り商品をきっかけに、再びチョコパイを手に取ってもらうことで、昔食べていた安心感からブランドとの再接点をつくっていきたいとしている。
冒頭でも触れた通り、チョコパイの主要購買層は30〜50代の女性で、特に40代が中心だが、コラボ商品や1個売り商品については20代の若年層に向けて商品開発を行うことで新たな顧客層を開拓している。
今後については、タッチポイントの強化を考えているという。
「チョコパイは常温のお菓子の中ではロングセラーブランドになり、多くの小売業に扱ってもらっている。その上でタッチポイントを強化し、ブランドの価値や体験を楽しんでもらいたい」
一例として、3月12日から14日までの3日間、銀座コージーコーナーの生ケーキを扱っている店舗(一部を除く)で、両社が共同開発した「ケーキになったチョコパイ(4号)」を販売した。「ケーキから着想を得たブランドを実際にケーキにしたらどうなるか試した商品だが、SNSでも多くの反響があった」
チョコパイが誕生した約40年前と比べ、共働き世代が増えたことで、子どもがお菓子を食べる場面が自宅や友人の家から学童に変わってきている。そうした社会変化も捉えながら、ブランドの原体験を今後どのように生み出していくかを模索している。
ロングセラーブランドであるチョコパイの今後の展開に注目したい。
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