川口弘行合同会社代表社員。芝浦工業大学大学院博士(後期)課程修了。博士(工学)。2009年高知県CIO補佐官に着任して以来、省庁、地方自治体のデジタル化に関わる。
2016年、佐賀県情報企画監として在任中に開発したファイル無害化システム「サニタイザー」が全国の自治体に採用され、任期満了後に事業化、約700団体で使用されている。
2023年、公共機関の調達事務を生成型AIで支援するサービス「プロキュアテック」を開始。公共機関の調達事務をデジタル、アナログの両輪でサポートしている。
現在は、全国のいくつかの自治体のCIO補佐官、アドバイザーとして活動中。総務省地域情報化アドバイザー。公式Webサイト:川口弘行合同会社、公式X:@kawaguchi_com
こんにちは。全国の自治体のデジタル化を支援している川口弘行です。
前々回、前回の記事は、通常の記事の時よりも少し反響が大きかったように思います。
折しも、ある自治体でデジタル人材育成に関する事業への参画が決まったり、別の企業とも人材育成に関するビジネスについての打診があったりと、普遍的なテーマとして「人材」にはみなさん興味をいだいているようです。
その意味では、この記事における「自治体におけるデジタル人材育成」のテーマは現在進行系でもあります。定期的にご報告しますので、お楽しみに。
前回の記事で、イギリスの作家ダグラス・アダムスが示した「技術に対する3つの法則」を紹介しました。人は、35歳を過ぎてから登場した技術は「不自然で受け入れがたいもの」と感じる――というものです。
皆さんの気を引いたのは「35歳」という年齢の境目についてでした。
「35歳というのは、意外と若いところにボーダーがあるのですね」というようなコメントを直接いただいたり、「単純に世代論で片付けないで」と言われたりもしました。
この記事に直接書き込まれたコメントでも、
少なくともITエンジニアでそんな奴いないでしょ 35歳以降に出てきた技術を否定してたら仕事にならない。
その程度の年齢以上の方はその新しい技術を使う立場ではなく、だれやどこにその技術を使うかを考える立場になっている(当人は使わない)のが理由では。
――というのがありました。コメントくださった方、どうもありがとうございます。
ちなみに、ダグラス・アダムズがこの法則を示したのは1999年です。もしかするとテクノロジーの進歩のスピードが当時とは違っていた可能性もあります。また、私自身がいわゆるデジタル技術をメシのタネにしている人間ですので、ここ最近のデジタル技術に対して拒否感を抱くようなことはありません。
ならば、自分の専門分野とは違う領域では、ダグラス・アダムズの法則は成立するのかを調べてみることにしました。
せっかくなので、ChatGPTの機能を使って調べてみましょう。
そうです、Deep Research(ディープリサーチ)を使います。
Deep ResearchとはChatGPTの機能の一つです。
複雑な調査タスクを自動化し、専門的なレポートを生成する高度なリサーチを行うことができます。
従来のChatGPTがユーザーの質問に対して即座に回答するのに対し、Deep Researchはインターネット上の情報を自ら検索し、分析、統合して、レポート形式でまとめてくれます。これにより、人間が数時間かけて行うような調査を、数十分で完了させることが可能になります。
自ら検索、分析をするので、いわゆる「AIエージェント」と分類できるのかもしれません。使い方は簡単で、ChatGPTの画面から「Deep Researchを使う」というボタンを有効にしておくだけです。これで、ChatGPTが本気で調べるモードに変わります。
実際にやってみた結果は、次のリンクのとおりです(結果全文を見る)。Noteにファイルを貼り付けておきました。
私は1971年生まれですので、35歳というと2006年です。
「2006年以降の文化には否定的」というのがアダムズの主張ですが、なかなか深い示唆が含まれているようにも思います。
半分お遊びでDeep Researchを使ってみましたが、これは実際の自治体の業務にも使えるのではないでしょうか?
例えば、自分の自治体のデジタル化の取り組みについて、公開情報から分析してくれるので、「外野からは自分たちがこのように見られている、評価されている」という新たな視座を得ることができます。
DX推進計画や情報化計画策定支援をコンサルに委託している自治体もありますが、自治体が行う予備調査ならばこれで十分なクオリティーですので、これをスタート地点としてコンサルに委託すると、コンサルを遊ばせないで最大限の成果を得ることができます(少しトゲのある言い方ですね)。
念のため付記しておくと、このDeep Researchの結果も「意見のひとつ」に過ぎません。当事者からみれば、事実誤認している記述もありますので、利用の際にはご注意ください。
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