「ドコモ経済圏」のカギはアリーナ? 通信大手が描く“体験ビジネス”の未来(3/6 ページ)

» 2025年07月03日 06時00分 公開

最高スペックの通信設備を導入

 NTTドコモは、日本のベニュー事業の課題が収益構造の多様化と設備の充実にあると分析。自社の通信技術で観客体験を向上させられると判断し、市場参入を決断した。

 運営に関わる4つのアリーナでは、観客がストレスなく通信できる環境整備から着手した。各施設には最高スペックの通信設備を導入しており、IGアリーナでは、5Gのミリ波(高速通信を可能にする電波帯域)や、WiFi 7(最新の無線LAN規格)を完備している。

 観客が感動した瞬間をSNSでシェアしたり、アーティストとの双方向のやり取りをストレスなく楽しめる環境を整えている。

photo NTTのミリ波基地局
photo Wi-Fi 7を設置

 さらに、導入を進めているのが、次世代通信技術「IOWN」(アイオン)だ。IOWNは光技術を活用した超高速・大容量・低遅延の通信基盤で、複数拠点をリアルタイムで接続できる。大阪・関西万博のNTTパビリオンでも話題となっている技術だ。

 IGアリーナでは、APN IOWNを導入する。最大収容人数が1万5000人を超えるアリーナに開業初年度から導入するのは、世界初だという。

 「複数の拠点を低遅延で結ぶことで、これまでにないエンターテインメント体験が可能になる」と岡氏は語る。例えば、国立競技場とIGアリーナに異なるアーティストがいる状況で両者がセッションを行い、それぞれの会場の観客がリアルタイムで体験するといった演出も、技術的には実現可能だという。

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