海外の事例と比較した際、日本のベニュー事業は改善余地が大きい分、市場拡大の可能性を秘めている。一方で、国内における人口減少は確実に進行している。「だからこそ、一人ひとりの感動や体験価値に、より重きが置かれるようになる」と岡氏は語る。いかに、価値の高いエンターテインメントを提供できるかが今後の課題だ。
最近では、長崎スタジアムシティやエスコンフィールドHOKKAIDOなど、付加価値の高いサービス提供で成果を上げる事例も出てきている。NTTドコモは、IOWNなどの最先端の通信技術と、「dアカウント」を活用したマーケティングにおける強みを武器に事業を進める。
また、年々増加するインバウンド需要の取り込みも重要だ。同社は、アリーナを日本のコンテンツの世界発信拠点として活用する考えも検討している。音楽やアニメといった日本発の文化を発信することで、海外からの観光客誘致にも期待を寄せる。
テクノロジーが進化すればするほど、リアルな感動体験の価値はむしろ高まる。その点、NTTドコモの複数施設の同時運営は武器になる。4つのアリーナで得られるノウハウの共有やIOWNによる拠点間連携など、スケールメリットを生かした運営は、他の施設や事業者にはない特徴といえる。
ただし、数十年スパンでの投資回収や地域との関係構築は簡単ではない。最新技術による体験と、アリーナやスタジアムを囲む地域との連携を両立させた持続的な成長モデルの構築が求められる。
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